能登を「新・経済特区」にするアイデア

そのほか、従来の特区制度で提案されているようなものは、少し基準を甘くして柔軟に認めるのがよい。

能登半島のような半島では、思いきって中国本土と香港を結び「中国のシリコンバレー」と呼ばれている深圳(シンセン)のように国境類似の管理をするのはどうか。警察の検問を格別に厳しくすれば、かなり大胆な施策をしても不正な利用は限定的なものにできるだろう。

深セン市街地景観
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多くの人が社会保障の抜本的改革案として支持しているベーシックインカム(最低限所得保障)を、能登半島で思い切って有利な条件で実験するのも面白い。半島は、本当に現地に住んでいるかを把握しやすい土地だから最適だ。

輸入品を含めた免税ショップという案もある。海外旅行者が消費税を払わずに購入したブランド品を、関税もあまり厳しく取らず輸入させているのだから、能登半島でルイ・ヴィトンのバッグを条件付きで安く買えるようにしても、日本全体の市場に影響を与えることにはならない。ヨーロッパにおけるアンドラとかリヒテンシュタインといった国と同じだ。

自動車関係だって、国内の安全や環境規制から少し外れる車種について、地元さえ良ければ能登半島限定で認めてもよい。建材とかさまざまなものにも応用可能だ。

口蹄疫こうていえきで輸入禁止になっているイタリアの生ハムを限られたレストランで提供したらそれだけでも人は集まる。フグの肝臓とか生肉も同様だ。

半島だからこそ規制緩和をコントロールできる

IRなどという大げさなものでなくとも、カジノ規制の緩和だってあり得る。パチンコの出玉規制をゆるくしてもよいのである。地元さえ良ければ、遊興産業を全国でもっとも緩い規制にしても構わないと思う。

大麻解禁は、世界的な流れからしていずれ議論にならざるを得ないと予想している。これも地元が同意したら特区で試行することもあり得ないわけでもない。

いずれも、訪問客や宿泊客に対して、過度なことにならないように枠をかけることが半島という地形でなら可能になる。

医療関係でも海外で認められている治療や薬品などを使えるようにしてもよいし、医師免許も海外の資格で医療行為を認めたらよい。海外と同じ治療を受けたい、続けたいという需要は高い。

外国人労働力は、目的を絞って地域限定で導入したらよい。たとえば、石川県輪島市白米町の千枚田などを外国人労働力の手作業で再建維持してはどうか。