チームのモチベーションを下げる要因になっている

【川村】一つお聞きしますけど、山口さんは、メンバーを「ちょっといい?」って呼んだときの、その場のみんなの空気を感じたり、呼ばれた本人の気持ちを考えたりしたことはありますか?

【山口】まあ、多少の緊張感が走っていることくらいはわかっていますけど。

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【川村】きっと周りのメンバーたちは、こう囁いているんでしょうね。「あーあ、お気の毒様」「火の粉をこっちに飛ばさないでね」「さっ、呼ばれる前に、外出外出」って。

【山口】……。

【川村】呼ばれた当の本人も「また恒例のお小言タイムか。せっかくここから巻き返そうと思ってた矢先に……」って。

【山口】……。

【川村】僕の経験から言っても、「ああ、また始まったよ」と、チーム全体のモチベーションを下げる要因にもなっていることが多い気がします。

【山口】えっ? まさか私がモチベーションを下げてる? 部下のモチベーションを上げるために呼んでるのにですか?

【川村】いやいや、まだそうとは決めつけていませんよ。ただ、次の質問をすれば、だいたいのことはわかりますけどね。

「とにかく粘って1件でも決めてこい」でどうにかなった?

【山口】早くその質問をお願いします。

【川村】はい。メンバーを呼んだときに具体的にはどんな話をするんですか?

【山口】もちろん、うちは営業会社ですから、まずは目標に対して数字がどうなってるのかの確認をして、さらに行動管理もやりますよ。

【川村】なるほど。それって、どう切り出すんですか?

【山口】それは、普通に「今週の数字はどうなってるの?」と聞いていますよ。

【川村】それで、「今週は厳しいです」「見込みもまるでありません」って答えだったとき、山口さんはどう応じるんですか?

【山口】まあ、週の半ばだったら「あと3日もあるんだから、あきらめるな」とか、週末でしたら「とにかく粘って1件でも決めてこい」って言いますかね。

【川村】それでメンバーは、どうなりますか?

【山口】もちろん、「最後まであきらめずに追い込みます!」と気合いは入ってるようですけど。

【川村】なるほど。それで実際のところ、3日でどうにかなってます? 週末にちゃんと1件決まってくるんですか?

【山口】いやいや。結局ダメなことがほとんどですよ。

【川村】ですよね。

【山口】要は、部下のやつらに危機感が足りないんです。