カワセミと人間は同じ地形が好き

明治維新以降、小流域源流部を占有した大名屋敷の多くは、皇族や貴族、明治の元勲や財界人の手に渡った。あるいは大学の敷地となった。敷地内の湧水と緑と古い野生は維持された。

柳瀬博一『カワセミ都市トーキョー』(平凡社新書)

第二次世界大戦後、財閥解体や貴族制度の廃止、皇族資産払い下げなどがあり、存続が危ぶまれたが、その多くが公園や庭園、美術館や博物館、記念館などになった。ホテルなど宿泊施設として姿を変え、湧水と緑のかたちが残されているところもある。

公園や庭園や緑地に姿を変えた都心の小流域源流の周りの高台は、古くから権力者たちの住まいが集まる場所だった。ゆえに、現代その多くのエリアが高級住宅街となったわけだ。

東京の高級住宅街は、①武蔵野台地の縁にあり、②近くに小流域源流の地形を生かした公園や庭園や緑地があり、③その先に都市河川や海がある、という3つの共通要素を抱えている。

これはまさにカワセミが暮らしたい場所の必要条件とぴったり一致する。カワセミと人間は同じ地形が好き。

だから、カワセミが暮らす街は人間にとっても一等地、高級住宅街なのである。

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