「ハンズオン感」が何より大事

ジェロの提案は光栄なこと。そういう背景があったのなら、と僕は熟考の末に引き受けると決断しました。

彼は元弁護士であり、緻密な人ですが、黒服のボーイからスタートした苦労人で、カナダ育ちの香港っ子です。

浜田寿人『ウルトラ・ニッチ』(ダイヤモンド社)

僕は店作りやメニュー作りなどに細部までこだわりますが、半年にわたる僕の毎日の細かな修正作業やオーダーにも嫌な顔をせず、さらに部下に振ることもなく、自らが担当して各チームに落とし込んでくれました。このハンズオン感が何よりも良かった。

こうしてできたのが、「WAGYUMAFIA HONG KONG」でした。2018年11月のことです。

尾崎牛、神戸ビーフを扱い、おいしい和牛を食べてもらうと同時に、WAGYUMAFIAならではのパフォーマンスも楽しんでもらえる店にしました。「いってらっしゃい」のみならず、さまざまなパフォーマンスがあります。

客席25席で年商6億円…

この店舗が、想像を超えるヒットになりました。客席数は25席ながら、初年度から年商が6億円を超えたのです。客単価は日本の5万円を超える7万円。

すぐにわかったのが、口コミで情報が広がっていったことでした。トップレベルの富裕層の人たちは、口コミこそが最強の情報ツールなのです。

世界中の人たちが集まるのが、金融都市・香港。香港で初めてグローバルなWAGYUMAFIAの姿を見せることができたことで、「これを自分たちの都市でも展開したい」という人たちが次々に現れることになったのでした。

さらに、香港のWAGYUMAFIAに触れて、「やはり本家のWAGYUMAFIAが見たい」と、香港をきっかけにインバウンドで日本に来る人たちも増えました。