「日本株は年末のバーゲンセールのよう」

わが国の企業の“稼ぐ力”の向上に目を付けた海外投資家は、昨年春先以降、積極的に日本株を買ってきた。今年1月第1週の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家による東証プライム市場での売買金額は、2週ぶりに買い越しに転じた。

海外投資家が、日本株を買ってきた背景の一つは円安がある。ドルやユーロなどの外貨資金を運用する会議投資家にとって、円建てのわが国の株価はかなり安く見える。それでなくとも、過去、長期間にわたって安値に放置されてきた日本株は、PER(株価収益率)で見ても魅力的といえただろう。

ロンドン在住のファンドマネジャーによると、「安値で、しかも円安の追い風もあり、日本株は年末のバーゲンセールのように見えた」といっていた。彼は、かなり前から少しずつ日本株を買っていたようだが、昨年の春先から本格的に日本株投資を積極化したという。すでに、彼が保有する日本株はかなりの含み益を抱える状況だ。

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海外投資家の注目を集める国内の環境要因

もう一つ国内の要因がある。新NISAの開始は投資家、特に、個人のリスクテイクが期待できることだ。新NISAでは投資可能枠(非課税保有限度額)が1800万円に拡大する。制度は恒久化され、個人投資家は自分のペースで株式などに資金を配分しやすくなる。

賃上げと労働市場の流動性の上昇などの変化も、投資環境の追い風となっている。近年、企業経営者は事業運営体制の維持・強化のため、賃金を引き上げることが必要になった。成長戦略の強化のためにより高い賃金を支払い、プロ人材を確保する重要性が高まったのである。

“新卒一括採用・年功序列・終身雇用”からなるわが国の雇用慣行は崩れはじめた。学びなおしや自己研鑽に励み実力を高めることができれば、高い賃金を手に入れることが可能であることに気づく人は増えた。

転職をして業績拡大に合わせてより多くの報酬を手に入れる。新NISA制度などを活用し、その一部を無理のない範囲で株式投資に再配分し、企業の成長をよりよく享受する。そうした考え方の増加も日本株の上昇を支えた。