恋愛できないのは、脳が合理的にブレーキをかけているから

最近は社会的、経済的事情から結婚をしなかったり、子どもを産まない選択をしたりする人が増えています。仕事が忙しいことや、生活するのに精いっぱいで、恋愛自体が二の次になっている事情もあることでしょう。

もちろん、そうした選択は尊重すべきものです。ただ、生物の生殖本能という観点から考えると、気になる相手に恋をしてしまうのがふつうの状態ともいえます。そうなっていないのは、脳が本能にブレーキをかけているわけです。

この働きを担うのが、先ほど説明した脳の前頭前皮質にある「DLPFC(背外側前頭前野)」という部分です。この部分は、計画性、論理性、合理性などを司り、いわゆる「知能」が高い人ほど、この部分が働きやすくなります。

つまり、冷静に相手を見極めるのはいいのですが、DLPFCの働きが過剰になると、せっかく相手に愛情を感じても、すぐその気持ちを否定しかねないのです。

「好きなタイプだけど、フリーランスは将来が心配」
「気が合うけれど、彼は社交的だから遊ばれるかもな」

そうして自分では賢明な判断をしているつもりでも、結果的に出会いの機会を逃していることがあります。

最近では、将来産む子どもを優秀にするために優秀な遺伝子を選ぶなど、結婚や出産をより戦略的に考える人も増えました。

繰り返しますが、そうした選択は尊重すべきです。ただ、そうした振る舞いによって、かえって愛情を共有する機会が減っていることが、現在の少子化の背景のひとつにあると思うのです。

恋愛できないもうひとつの理由

恋愛に対して脳がブレーキをかけていることに加えて、もうひとつ恋愛できない理由があります。

それは、「あえて恋愛しない」と決めているからで、要は「いまのままで幸せだから、別に恋人がいなくても、結婚しなくてもいいかな」と考える場合です。

これもひとつの選択ですが、こうした考え方をするタイプが、日本人には特徴的に多いと見られます。

人間が恋愛などで行動を起こすときに大きな動機となるのが、快楽物質と呼ばれる「ドーパミン」の働きです。なんらかの刺激を受けると、このドーパミンが脳に分泌されることで快感や幸福感が得られます。

そして、脳のなかには、ドーパミンを受け取るための「DRD4」という受容体があります。