「恋愛が苦手」という女性が増えている。脳科学者の中野信子さんは「生物の生殖本能から考えると、恋をするのがふつうの状態だが、ここで脳がブレーキをかけてしまう人は知能が高い傾向がある」という――。

※本稿は、中野信子『感情に振り回されないレッスン』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

恋をする人のイメージ
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恋愛下手な女性は知能が高い?

「わたし、本気で人を好きになれないんです」
「恋愛スキル、むちゃくちゃ低いんです」

こんな女性が増えています。

まず確認しておきたいのは、ひとくちに「人を好きになれない」といっても、「恋愛ができない」のと「人を愛せない」のとは違います。

たいていの場合、前者の「恋愛ができない」というケースです。実は、こういう人は知能が高い傾向があり、知能の高さの指標になる前頭前皮質の「DLPFC(背外側前頭前野)」という部分が、「この人とつきあってもいいことないかも」などと考えをめぐらせ、恋愛に発展することにブレーキをかけてしまうのです。

こういう人は、気になる人と会うときには、あえてお酒を飲んだりして、DLPFCの働きを鈍くしておくことをおすすめします。恋愛には、ちょっと、頭のネジを緩めておくくらいがいいのです。

オキシトシンを分泌させると愛情が生まれる

一方、「人を愛せない」ケースは生まれつき脳にプログラミングされています。

脳下垂体で分泌される愛情形成に深くかかわる物質である、「アルギニンバソプレッシン(AVP)」の受容体が少ない人は、愛情の形成がうまくできないといわれています。

とはいえ、AVPが少なくても、愛情を形成する方法がないわけではありません。AVPと同様に愛情形成をうながす、「オキシトシン」を分泌させることです。

例えば、映画や小説を見て擬似恋愛をする。ぬいぐるみに愛着を持って触れ合う、人とたくさん過ごすなどで、オキシトシンが分泌されることがわかっています。