日本人は、熱しにくく冷めにくい

この「DRD4」にはいくつかのバリエーションがあり、簡単にいうと、「DRD4」のサイズが長ければ、快楽を得るためにドーパミンを大量に必要とします。これが、いわゆる「熱しやすく冷めやすい」タイプです。

ただ、このタイプは日本人には100人あたり1%程度しかいないといわれており、残り99%のうち、約6割が「DRD4」のサイズが短く、約4割が中程度の長さになります。

ちなみに、「DRD4」のサイズが長い人は、スペインで18%、スウェーデンで16%、デンマークで14%というデータがあります。

つまり、日本人の大多数はほかの国々と比べて、少しの刺激で満足しやすい「熱しにくく冷めにくい」タイプだということ。こうしたことからも、「恋愛できない」人がかなりの割合でいると推察できるのです。

人類の文明が進むに従い、恋愛はただの遊びになった

人間はなぜ婚姻をするのでしょうか? それは自分のリソースを維持し、資産の散逸を防ぐためです。

そして、もうひとつのミッションが、出産と子育てをするためです。

赤ちゃんの手を握る人
写真=iStock.com/minianne
※写真はイメージです

でも、考えてみれば、恋愛はこのふたつのミッションに必須ではありません。人類の文明が進むに従って、恋愛は生殖活動の枠を飛び越え、ただの「遊び」になってきたのです。

たしかに恋愛には、先のふたつのミッションをうながす役割はあります。恋愛関係が発展し、婚姻へと進むイメージです。しかし、恋愛の快楽にハマり過ぎると、むしろミッションから遠ざかるほうへと進みます。

なぜなら、恋愛で悩んだり、楽しんだりしているときは、ドーパミンによる快楽が強く、脳の前頭葉の機能が落ちるからです。すると、恋愛相手の言動の矛盾に気づかなくなったり、仕事中も上の空になったりして、少し考えればわかるような計算や知的作業もできなくなってしまいます。

もっと行き過ぎると、結婚詐欺などにも遭いやすくなってしまう。不倫をしている著名人なら、ふたりで歩くと写真に撮られることがわからなくなってしまう。むしろ、まわりに匂わせるような言動をするなど、行動の水準がどんどん下がっていきます。

そんな快楽を得る手段としての恋愛にハマると、本来のミッションである資産の散逸を防ぐことや、出産や子育てを置き去りにして、壊す方向に働いていきます。

恋愛はただの遊び。恋愛を楽しんでいるときは、お酒に依存しているときと変わらないのかもしれません。