※本稿は、中野信子『感情に振り回されないレッスン』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「正しい人」のなかには、倫理観が欠如している人がいる
「敗者ではなく勝者になりたい」というのは、人間のごく自然な感情です。
そして、勝者になるためには、人よりも多くの富や名声を手にするといいという「勝ちパターン」も多くの人が知っています。
とはいえ、同時に「そのためであっても犯罪行為は行ってはいけない」というルールも同時に理解しているでしょう。
ところが……、世の中には勝ちパターンのルールは学ぶことができても、倫理や道徳に関するルールを学べない人がときどき存在するのです。
しかも、タチが悪いことに、彼ら彼女らは途中で「どうやら自分は特殊なタイプであり、そんな性質をあまり露わにしないほうがいいらしい」と気づきます。
そして、自分の本性を隠そうとして嘘をつくようになるのです。表面的には、あたかも倫理と道徳をとても大切にしているように振る舞うため、多くの人はコロリと騙されてしまいます。
あなたのまわりにいる、一見して「とても正しい人」をよく観察してみてください。もしかしたら、倫理観などがまったく欠如した「裏の顔」があるかもしれません。
人は他人を叩いてよろこびを感じる
「他人を叩きたい」という欲望は人間の本質であり、時代を経てもほとんど変わることはありません。
こうした他人への妬みに付随して、相手に損害を与えて「よろこび」を感じる気持ちのことを「シャーデンフロイデ」といいます。
わかりやすくいうと、「他人の不幸でメシがうまい」という気持ちです。