立憲の「上から目線のメッセージ」の真意

ある意味「上から目線」ともみえる呼びかけに、維新や国民民主党が現時点で応じるとは考えにくい。維新の馬場氏も国民民主の玉木氏も、おそらく立憲を蹴り飛ばす。「立憲下げ」が大好きなメディアは「維新や国民民主にすり寄り、袖にされた立憲」と書き立てるかもしれない。

立憲はそんなことは織り込み済みだろう。それでも呼びかけるのは「いい加減『ゆ党』の立場をやめて、明確に野党陣営につくべきだ」という、両党に対する一種の警告だと思われる。あなた方が実現したい政策を立憲が全て実現すると言っているのに、それでも自民党にすり寄るのなら、自民党と「同じ穴のムジナ」と呼ばれることを覚悟すべきだと。

自民党の崩壊が進むにつれて「ゆ党」ではいられなくなる

大阪万博問題を抱える馬場氏も「非立憲」に凝り固まる玉木氏も、本音では2024年通常国会では、政府の予算案に賛成したいのかもしれない。だがそうなれば、両党は明確に「自民党の補完勢力」と位置付けられる。立憲との選挙協力は不可能になるだろう。

一方、すでに選挙区が埋まっている自民、公明両との選挙協力ができるはずもない。このままでは次期衆院選は、自民・公明の両党、立憲など野党4党、そして維新と国民のいわゆる「三つどもえ」の構図となる可能性が高い。

それで党内が持ちこたえるだろうか。維新の「勢い」に乗って当選したが、大阪万博にあまり強い思い入れのなさそうな、大阪以外を選挙区に持つ議員たちはどう考えるのか。国民民主で連合の支援を受け、立憲とともに戦いたい組織内議員たちは、この状況で戦うことをよしとするだろうか。

都合良く立場を使い分ける「ゆ党」の立場は、時がたち自民党の崩壊が進むにつれて、どんどん許されなくなる。やがて「与党か野党か」が厳しく問われることになるのは必定だ。小選挙区制中心の選挙制度とは、そういう性質のものだからだ。