2023年の国会はどうなるのか。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「2022年は前半と後半で野党のパフォーマンスが真逆になった。後半が野党ペースになったのは、立憲と維新が部分的に手を組んだからだろう。野党は『政権監視と批判』という一点で、もっと気軽に連携すべきだ」という――。
2022年の野党は「後半に巻き返した」
通常国会が23日に召集される。圧倒的な議席数を持ちながら、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題などで大きな逆風にさらされ、昨秋の臨時国会では完全に野党ペースを強いられた岸田政権。局面は変わるのか、それとも政権の体力が削がれ続けるのか。それを決めるカギは岸田政権よりも、むしろ野党の側が持っていると思う。
昨年の国会を振り返ると、前半と後半で野党のパフォーマンスは真逆になったと言っていい。
前半の通常国会では、直前の衆院選で敗れた上に「批判ばかりしているから負けた」などという根拠のない批判にさらされた野党第1党・立憲民主党が、萎縮して存在感を失う一方、野党第2党の日本維新の会や、さらには国民民主党のように与党にこびて野党間の「違い」をやたらアピールする政党もあり、野党は全く一枚岩で戦えなかった。
この結果、政府提出の法案はすべて成立。異例の「無風国会」となってしまった。
「野党ペース」の国会を実現
ところが、後半の臨時国会では状況が一変した。参院選の選挙期間中に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件と、それを機に噴出した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係、閣僚の「政治とカネ」問題などへの国民の批判が吹き荒れ、岸田政権は見る間に勢いを失った。
野党は一転して攻勢に転じ、1カ月で3人の閣僚を辞任させた。旧統一教会被害者救済新法では、野党自身が議員立法を提出するなどして岸田政権を突き上げ、法案提出の先送りを狙った岸田政権を政府案の提出に追い込んだ。さらに野党の意見をのませて、政府案の修正までやってのけた。少数野党とは思えぬパフォーマンスで、完全に「野党ペース」の国会だった。