建物の南面にはいつも掃き出し窓が必要なのか

敷地の広さに余裕があり、建物の南側にたっぷり庭を設けられた時代の家は大きな掃き出し窓にも意味があった。南面をガラスにすれば、日当たりは当然良くなった。窓をあければ風通しも良くなった。当時はいまほどプライバシーにもうるさくなかったことだろう。

藤山和久『建築家は住まいの何を設計しているのか』(筑摩書房)

だが、そのような時代はとうに過ぎている。日本の住宅の象徴ともいえそうな掃き出し窓だが、その位置づけと役割についてはずいぶん前に見直すべき時期がきていたように思う。

建物の南面にはいつも掃き出し窓が必要なのか。必要だとしても何か工夫すべき余地があるのではないか。窓の基本的な役割を押さえつつ、バランスよく慎重に考えていく必要が、いまの掃き出し窓にはあるように思う。

住宅でも、大型の建築物でも、窓が絡んだクレームは本当にたくさん見聞きする。

窓の話をし始めると、どうしても愚痴っぽくなる。

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