常に最高を目指すのは息苦しい

経営者である僕が考えるべきことは、舞台をつくること。

そして、それはできるだけ大きなものにしたい。すぐに転がり落ちてしまうような、あるいは姿が隠れてしまうような小さな舞台では、のびのびパフォーマンスができません。メンバーには「(この範囲の中なら)好きに決めて動いていいよ」と伝え、「それはダメ」という言葉はなるべく言いたくない。

そのために、ダメなことがほとんどないという舞台、つまり前提をつくる。それが、最高と最低のラインをなるべく離して、その間に余白地帯をつくるということです。

これは、経営だけじゃなく人生においても同様なのではないかと思っています。最高と最低のラインの間を広く持つだけで、自分自身の動ける範囲も自由度も格段に広がります。

常に最高だけを追い求めるというのは、一見、とてもかっこいいことのように思えますが、僕にとっては、それは息苦しい。絶対にやらなくてはいけないという一点を決めて、計画をつくり、毎日努力してそこに向かって突き進むこともすてきだと思いますが、やりたいことがその都度変わるような寄り道の多い生き方も楽しいと思いませんか。

自由に働けて、出入り自由な会社をつくる

僕の正直な気持ちをいえば、なるべく楽しいことだけをやって生きていきたい。なるべくストレスなく自然体で過ごしていきたい。そのためには、できるだけ大きな水槽、つまり余白があったほうが、自分もみんなも自由に泳ぐことができます。

山﨑清太郎『余白思考』(日経BP)

泳ぐ方向も、「こちらを目指せ!」という矢印があるわけではなく、水槽の中でさえあればどちらを向いて泳いでもOK。結果的に最高のパフォーマンスにつながれば、それでいいのです。

もちろん、中には「水槽から飛び出たい」という人もいます。その場合は、組織であれば、「それは今の組織にいないほうがいいんじゃない?」というだけの話。どうぞ飛び出てください。

水槽、つまり会社は、あくまでも器です。個人が社会と戦うための器。自分らしく戦うために、最大限利用すべきだと思いますし、その器の中では泳ぎにくいと感じるのであれば、無理せず出ていくべきだと思います。

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