中学2年生から売春し、1回10万円を稼いだ

母親が高校進学のお金を出さないのは、目に見えていた。

学校から給食を分けてもらえるようになってから食べ物に困ることはなくなったが、高校進学はどうしてもしたかった。

美衣さんは中学2年生のときから、宇都宮のテレクラで売春を始めている。時間があれば、宇都宮に行って中年男性たちにカラダを売った。「中学生と本番ができる」と、中年男性たちは喜んで美衣さんを買った。

「高校進学のとき、母親は『受験料が無駄になるから滑り止めは絶対に受けさせない』ってなった。学校の先生は情熱がある人で、母親に説得を重ねたけど、カネは出さないの一点張り。どんなことがあっても入れるところってランクを下げて受験した。中学2年生から売春していたので、学費くらいのお金は持っていたけど、それは言わなかった。当時は売春している子は少なかったし、中学生だったので売春はお金にはなった。一回7万円とか10万円とか、そんな金額で売れた。売春は宇都宮だけ。A市でやると、友だちのお父さんとかになるのでそれはしなかった」

売春して稼いだお金で、生まれて初めてケーキを買った

売春して稼いだお金で、まず買ったのがケーキである。美衣さんはケーキを生まれてから一度も食べたことがなかった。

「友だちと宇都宮に遊びに行くと、その友だちのお母さんに買い物を頼まれたりする。お供えとか。それで初めてデパートの地下食料品広場に行って、アプリコットデニッシュやばい、レアチーズケーキやばいってなった。何百円もするから、1個が豚コマ何十枚分かなとか思ってました。それとサバのなんか一夜干しみたいのが1000円だった。どういう人がこんな高価な干物を食べているのって、すごく衝撃を受けた。でも、売春で7万円とか稼げたので、ケーキは思いっきりたくさん食べた。何千円も使って食べた。本当に美味しかった」

写真=iStock.com/kaorinne
売春して稼いだお金で、生まれて初めてケーキを買った(※写真はイメージです)