堀江貴文が見る「穐田誉輝」という男

堀江は穐田について、どう思っているのか。わたしは直接、彼から聞くことにした。

堀江、穐田と一緒にゴルフをして、フェアウェイやラフや林の中を歩きながら、なんでもかんでも話してもらった。

ゴルフの最中、堀江は礼儀正しかった。穐田に対しては敬意を払い、終始、敬語を忘れなかった。堀江はホールからホールへ移動する際も、スマホを操作して「案件」に没頭していたが、穐田が話しかけた時だけは手を止めて、目を見ながら正対し、「はい、そうです」と答えていた。世間の印象とはまったく違うさわやかな人物なのである。

堀江は今も実業界にいる。何人もの経営者のことをよくわかっている。仕事の力量だけでなく、人となりや考え方までわかっている。その堀江が穐田を褒める。

「穐田さんのことはクックパッドでその後、経営した人と比べてみればいい。もし仮に穐田さんがあのままクックパッドの経営をしていたら、もっと会社を成長させていたでしょう。

食べログも穐田さんですね。穐田さんがゼロからつくったサービスだけれど、あのジャンルは当時から成長する分野だと思っていました。僕自身、ライブドアグルメを始めて、かなり順調だった。ただ、僕がいなくなっちゃって、それで食べログにマーケットのすべてを持っていかれた」

撮影=西田香織

物事の本質がわかっていない経営者が多いが…

「あの時期、つまり、穐田さんがカカクコムをやっていた頃、僕は自分でも結構、無双していたと思う。ライブドアグルメだけでなく、ブログだって顧客を集めていたのはライブドアブログだった。グルメ、ブログ、その他の投資案件でも、僕が一時期いなくなったことで、残って仕事を続けたネット企業の経営者たちはある意味で得をした。

あの頃のネット企業の経営者は物事の本質がわかっていない人が多かった。なぜ、これをやるか、これはなぜ客に必要とされるのか、必要とされた後、どうやって売り上げを伸ばしていけばいいのか。

後先を考えずに、とにかくサービスをリリースしたらたまたま当たったみたいな人も少なからずいたわけです。ただ、穐田さんはそうじゃない。お客さんを見てサービスを考えて、売り上げの伸ばし方もわかっていた。元々、穐田さんはITの人ではなく、サービスの人だから。お客さんのことを見ているからやるべきことをわかっていた」