家族や友人と引き離していく

(2)子どもにアクセスし、分離を進める

加害者は子どもに近づいて、ほかの大人から隔離しようとします。子どもを対象としたスポーツイベントやボランティア団体で指導者的な立場になる、習い事の個人指導をする、ベビーシッターとして働くなどの例が挙げられます。また、心理的にも「自分だけが君を理解しているんだよ」「家族の人は誰も君のことをわかってくれていないね」などと吹き込んで、家族や友人と引き離し、孤立させていきます。

(3)信頼を発展させていく

子どもを褒める、ゲームの有料アイテムをあげるなど報酬を与える、その子の好きな活動に関心を示す、さらには薬物やアルコールを用いて、信頼関係や愛情関係を築いていきます。子どもは、一見やさしそうな大人から関心を寄せられたり、悩みを共感してもらうことに喜びを覚え、加害者に対して信頼感や恋愛感情を抱いていきます。

“やさしい言葉”は口止めの手段

(4)性的コンテンツや身体的接触に鈍麻どんまさせる
斉藤章佳『子どもへの性加害 性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)

加害者は性的な話をしたり、性的な接触をする、またはマッサージをする、くすぐる、膝に乗せるなど、一見すると性的には見えない接触を通じて、子どもを性的な刺激に慣れさせ、子どもたちの感覚を鈍麻させていきます。

「人はどんなことにでも慣れる存在だ」とはドストエフスキーの名言のひとつですが、人は生きていくために環境に適応していきます。もちろんその習性が功を奏することもありますが、加害者はそれをグルーミングに悪用していくわけです。

(5)虐待後の維持行動

加害者は子どもたちが性的行為を誰にも言わないように口止めをし、「君を愛している」「あなたは特別だ」などとやさしい言葉をささやいて、加害行為を継続できるようにします。

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