ラクダの多くが高齢化している
JCPでは、動物を「管理種」「登録種」「維持種」「調査種」の4段階にわけている。
「管理種」は、優先的に計画的に繁殖していく動物だ。
2019年時点では、シセンレッサーパンダやホッキョクグマ、コアラ、アジアゾウ、コツメカワウソ、アムールトラやスマトラトラ、チンパンジーやニシゴリラなどが含まれる。
「登録種」は、管理種のように優先的に繁殖するわけではないが、血統登録をして個体群の状況や個体数の推移を意識的に把握する動物。19年時点では齧歯類のカピバラなど、希少種ではないが感染症予防の観点から輸入が困難な動物が含まれる。
「気付いたときには日本の動物園からいなくなっている、という事態を避けなければならない」(佐藤さん)
ほかには、アフリカゾウ、オオカミ、ヤブイヌなどもリストアップされている。
「維持種」にはラクダ2種が入っている。
ラクダは、かつては中国から数十万円程度で購入できたので、どの動物園でも見かける動物だった。
ところが口蹄疫が発生し、輸入が難しくなり、国内の個体の多くが高齢化してしまい、維持が難しくなっている。
安定的な繁殖の望みはないが、個体数を把握しておく必要はあるため、ラクダを「維持種」としている。
ほか、ライオンやニホンザル、ツキノワグマなども維持種だ。
「調査種」はメガネグマなど、国内には数頭しかいなくなった動物や、まだ累代繁殖が可能だが世界的には生息数が減りつつある動物などが分類されている。
2030年にアフリカゾウは7頭、ニシゴリラは6頭に減る
レッサーパンダは、計画的な繁殖が成功している例だが、そのような成功例ばかりではない。JAZAは2011年、「2030年には国内のアフリカゾウは7頭に、ニシゴリラは6頭に減る」との将来予測を公表した。
JAZAによると、国内で飼育されているアフリカゾウは、00年に66頭だったのが、19年には31頭に半減したという。
ニシゴリラは33頭から20頭に、サルの仲間のピグミーマーモセットは10年に29頭だったのが、19年には8頭にまで減った。
絶滅の恐れのある希少種の商取引を規制する「ワシントン条約」を、1980年に批准して以来、国外から動物を入れるのが難しくなっている。
集団遺伝学の知見によると、ある生物の集団が繫殖して存続するために最低限必要な個体数は50頭だという。
しかし、国内の動物には、50頭を下回るものも多いのが現状だ。