「あの爺さん、かっこいいな」と思ってもらえるか

よいスーツを着ると、まわりの見る目も違ってきます。

今、まだ働いている人は、どこでスーツを買っていますか? 駅前の激安紳士服の店で揃えますか、それともブランドショップで仕立ててもらいますか?

最近は不景気が続き、人々の目も肥えていないので、そうではないかもしれませんが、激安紳士服の店のスーツでは、ビジネスの世界では見下す人もいるでしょう。

みんながゼニアを着る必要はありませんが、もうちょっと手を出しやすいブルックス・ブラザーズなどのブランドにするとか、自分が着るものをもうちょっとおしゃれにしてみようという気持ちはとても大事です。

おしゃれをするだけで、気分も「アガる」でしょう。

さすがにブランドのスーツは金額的に難しいというのであれば、ネクタイだけエルメスやシャネルなどの高級ブランドにしてみるのもよいと思います。

リタイアした人も同じです。サラリーマンの仕事着ではなくて、おしゃれのためにスーツを着るのであれば、激安紳士服店のスーツでは意味がありません。

よいスーツを着て、よいネクタイを締めて、帽子が似合うならよい帽子をかぶって、街に出かけてみてはいかがでしょう。

きっと街を歩く人も、「あの爺さん、かっこいいな」と思うはずです。

写真=iStock.com/Wengen Ling
※写真はイメージです

男性も着物を着たらおしゃれに見える

会社をやめたのに、今さらスーツは? と思っているなら、着物(和服)を着てみるという手もあります。

林真理子さんは、着物が似合う方ですが、私も林さんに誘われて、有名な呉服屋さんで着物を2着ほどつくりました。

着物は着るのがめんどうくさいので、そんなにしょっちゅう着ませんが、海外に行くときはけっこう着て行きます。

2008年に私が監督した映画『受験のシンデレラ』が、モナコ国際映画祭最優秀脚本賞ほか4冠を受賞しましたが、そのときはゼニアのタキシードを着て行きました。

でもその後、林さんから着物を勧められたこともあり、海外の映画祭には着物を着て行くようになったのです。

ところが、着物は着慣れていないので、いまだにタキシードやスーツのようには、うまく着こなせていません。

でも外国の人たちは、着物が似合っているかどうかわからないので、一緒に写真を撮ろうと言われたり、けっこう注目されるのです。

でも自分で見たら、ぜんぜん似合っていません。やっぱり着物は着慣れていないとダメだなと、反省しました。

映画監督の大島渚は、どこに行くにも着物で、トレードマークにもなっていたので、すごくよく着こなしていました。着物は普段から着ていないと、なかなか似合って見えないものなのです。

この「着慣れる」というのは、洋服でも同じです。

普段はスーツを着ないのに、たまに着ても似合っていないのは着慣れていないからです。こればかりは、しょっちゅう着て、身につけていくしかないでしょうね。