そもそも「ブラックホール」とは?

このブラックホールはどのように生まれたのか。なぜ存在は確認されているのにもかかわらず、誰の目にも見えないのか。本題に入る前に、ブラックホールに関して、現代物理学で語られている理論などから少しだけ説明します。

天体などの物体は時空に影響を与える(時空をゆがませたりする)一方で、その物体の動きは、その曲がった時空から影響を受けます。一方的にではなく、お互いに影響を与え合うわけですね。この関係性をアインシュタインは、「アインシュタイン方程式」と呼ばれる式で表しました。現代におけるブラックホールの理論は、この式の答えを、ドイツの天文学者・シュバルツシルトが導いたことで始まっています。

アインシュタインの「一般相対性理論」におけるブラックホールには、質量と電荷(粒子や物体が帯びている電気の量)、スピン(回転の勢いを表す概念)の3つの性質が存在します。それに対して、シュバルツシルトが提言したブラックホール(以下、シュバルツシルトブラックホール)は、電荷も持たず、回転もしていない、最も単純なブラックホールでした。

天体が自身の重力を支えきれずに重力破壊を起こし、電荷を持たず回転もしていない質量の分布が小さい領域に押し込まれた結果、生まれたのがシュバルツシルトブラックホールです。

このブラックホールは、その中心からシュバルツシルト半径(ブラックホールの質量で決まる半径)だけ離れた場所に、先ほど述べた「事象の地平面」という境界を持ちます。この光すら抜け出せない「事象の地平面」の外側、内側で時空は完全に断絶されていると言われ、内側から光が漏れだすことはないので、ブラックホールは誰の目にも見えないというわけです。

これらを踏まえて厳密に言い換えると、ブラックホールとは光が到達することができる未来のある地点(限りなく遠いところ)から、光が過去に遡ってもどうしても到達できない時空の領域を指します。その境界を「事象の地平面」と呼ぶことができるでしょう。

ちなみにこの「事象の地平面」では、強力な重力により、そこから十分遠くから見ると時間の流れが止まってしまって見えます。その地点ではスピードを持って動いている物体も、遠く離れた地球にいる我々から見るとほぼ止まって見える、ということです。

以上、少し長くなりましたが「ブラックホールとは光さえも脱出できない天体」の説明でした。ということで、冒頭の質問に戻ります。

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ずばり、ブラックホールに落ちたら人はどうなってしまうのか?