栄養を与えすぎると体が弱る

貝原益軒、奥田昌子編訳『病気にならない体をつくる 超訳 養生訓』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

人は食事をして体の外から栄養を取り入れているが、栄養が過剰になると、体の中の生命力が負けてしまう。植物で考えてみてほしい。肥料を与えすぎると、根から水分が染み出して根がしおれる。

水をやりすぎれば根が腐る。人も同じである。食べすぎなければ体に備わった生命力が養われ、寿命が延びて天寿をまっとうできるのだ。

(巻第一 総論上)

 

楽は苦の種、苦は楽の種

美食や色事をむさぼると、しばらくは気分がよくても、のちに体を損ない、長く苦しむことになる。これが嫌なら、手っ取り早く楽しめるようなことは控えるべきだ。最初に楽をして後で苦労するか、最初に苦労して後で楽をするかということである。養生も同じで、欲求と感情を抑えれば、のちに必ず幸福になれる。

(巻第二 総論下)

怒りと欲求は養生の大敵である

人の感情のうち、最も健康をむしばむのが怒りと欲求である。怒りは心を焼き、欲求は心を溺れさせて、いずれも気力と体力を奪い去る。慎重にコントロールしたい。

(巻第二 総論下)

心は静かに、体は動かせ

心はいつも静かにし、体はいつも動かすのがよい。一日中座っていると病気になる。長時間立ったままとか、歩きっぱなしもよくないが、長時間寝ていたり、座っていたりするのは最悪だ。

(巻第五 五官)

養生は健康な胃腸から始まる

人は食べたものを胃腸で消化し、栄養を全身に送って命を繋いでいる。植物が土から養分を吸って成長するようなものだ。だから養生を志す人は、まず胃腸の調子を整えることが欠かせない。

(巻第三 飲食上)