健康で長生きするにはどうすればいいのか。医師の大谷義夫さんは「京都府立医科大学大学院の調査によると、持病がない場合でも、日中座っている時間が2時間増えるごとに死亡リスクは15%上昇する。イスに長く座ることはやめて今すぐ歩き始めるべきだ」という――。

※本稿は、大谷義夫『1日1万歩を続けなさい』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

座っている時間が長いほど死亡リスクが高い

太ってきた。
健康診断で「運動しなさい」と言われた。
高血圧で薬を飲んでいる。
心も体も、なんとなく不調。

多くの人がこうした悩みを抱えています。

そして誰もが「体を動かした方がいい」のはわかっています。でも、できない。それが現実ではないでしょうか。

特にここ数年は、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増え、通勤の手間がなくなったぶん、座る時間が増えたという人も多いのではと思います。

もちろんデスクワークによる「座りっぱなしの弊害」は、これまでも指摘され続けてきました。ただこれはビジネスパーソンに限った話ではありません。

職業、年齢、性別を問わず、現代人の多くは座りっぱなしです。テレビ、スマホ、ゲーム、動画配信サービスと「座ったままで楽しめること」がいくらでもある便利さが、歩かない世界を作り出しているのでしょうか。高齢になるにつれ「のんびり座ってテレビの前で1日を終える」人も増えています。

ずっと座り続けることには、私たちが思う以上に多くの深刻なデメリットがあります。

たとえば京都府立医科大学大学院が6万人を対象に行った調査によると「座っている時間が長ければ長いほど死亡リスクが高い」ことが判明しました(※1)

持病がない場合でも、日中座っている時間が2時間増えるごとに死亡リスクは15%増。

これだけでも恐ろしいのに生活習慣病があると、さらに死亡リスクは上昇することがわかっています(糖尿病27%増、高血圧20%増、脂質異常症18%増)。

「ダイエットに成功した人」の共通点

生活習慣病の持病があり、降圧剤を飲みつつ「メタボなんだよね」と軽く考えている人は、脅かすようで恐縮ですが座ったまま死に近づいていると言えるかもしれません。

シドニー大学が行った研究によると、日本は世界20カ国のうち「座りっぱなしの国ワースト1」の1つに入っています(※2)

日本の成人は1日平均約7時間、多い人だと10時間も座っており、その他の国と比べると、かなり嬉しくない1位です。

カリフォルニア工科大学の調査(※3)には「ダイエットに成功した後リバウンドしない人は、座っている時間が短い」という報告があります。

ダイエットに成功して3年以上やせたままでいる人が座っている時間は、太ったままの人より3時間短く、コンピューターを使ったりゲームをしたりしている時間も1時間短くなっていたそうです。

座りっぱなしはさまざまな病気の死亡リスクを高めることもわかっています。

こうしたことを理解したら、イスに長く座ることはやめて今すぐ歩き始めてください。