筆者が実感した「ウォーキングの効果」

かつて私の健康とストレスの解消法は「水泳」で、長年、診察が終わるとジムに行ってプールで泳ぐ習慣がありました。

研究や執筆、テレビ局に依頼された健康番組の企画案など、泳ぎながらアイデアを練ることもしばしば。

ところが新型コロナウイルス感染症発生からの3年間は患者さんが激増し、私が診察室で座る時間は1日12時間超。

帰宅したらクタクタ。悲しいことに多忙でボロボロ。体重もすっかり増えていました。

そこで水泳ではなくランニングを始めたところ、50代という年齢もあってか体力的にはなかなかつらい。

困り果てた私は、いわば消去法でウォーキングを始めたのですがこれが驚くべき効果をもたらしました。

毎朝、昼、夜にとスキマ時間でウォーキングをするうちに、体重は減り、体調がよくなっていったのです。

大谷義夫さんと愛犬の「プー」
撮影=笹井恵里子
大谷義夫さんと愛犬の「プー」

「歩くとひざが痛くなる」はウソ

ただ私は医師であり論文マニアでもあります。

自分の経験だけで「ウォーキングが最高の健康法だ」と断言することはできません。

そこでエビデンスを求めて科学論文を調べたところ、ウォーキングの効果については『ランセット』など、査読の厳しさで知られる権威ある学術誌に掲載されているものも多く、改めてその効果に感嘆しました。

「歩くだけで健康になれるというのは朗報だ」

これは私自身の実感でもありますが、有酸素運動の代表とも言えるウォーキングにはたくさんのメリットがあるとともに、特筆すべきデメリットがないのも見逃せない「メリット」。

この点を軽んじてはなりません。

なぜなら健康法というのは、継続・習慣化してこそ意味があり、デメリットがないことは大きなメリットであるからです。

たとえば「ウォーキングとひざ痛の因果関係は認められない」という調査結果も、世界的に有名な医学雑誌に発表されていることです(※4)

ウォーキングはエビデンスの面からも、メリットの面からも、また私自身の実感からもほんとうにおすすめできる運動です。