「聞く力」は一体どこで発揮されているのか
しかも、岸田首相の考え方の裏には、物価高が外的要因によって起きているという事実関係をきちんと説明せず、高い賃上げ率などを自身の成果だと強調したいという意図も透けて見える。
日本経済や岸田首相自身をより良く見せようとする屁理屈により、経済対策が大きくゆがみ、それに国民が付き合わされていると言っても過言ではないだろう。
そのような岸田首相の打算は既に国民に見破られている。
記者会見で「デフレ完全脱却」を繰り返す岸田首相の姿が、あまりにも国民生活からかけ離れてしまっているがゆえに、多くの人は共感できなくなってしまっているのだ。
そのため、2日の経済対策発表後も政権支持率の下落は止まっていない。
岸田首相は10月、政権発足から2年を前に首相官邸で「聞く力と決断し実行することのバランスが政治に求められる」と記者団に語っている。
その「聞く力」は一体どこで発揮されているのだろうか。
今国会では、特別職の国家公務員の給与を引き上げる法案が成立する見込みで、岸田首相は年間46万円、大臣や副大臣は年間32万円の給与アップとなる予定だ。
これについて松野官房長官は、「自身を利するような考えはないが、万が一にも国民の不信を招くことがあってはならない」と述べ、首相と政務三役は、年収アップ分を国庫に返納する方針を明らかにしている。
政治不信が高まる中、なぜ自身や閣僚の賃上げも盛り込んだままの「給与増法案」を出してしまったのか。なぜ後手に回って「自主返納」するのか。岸田首相はどこまでもズレている。そう思わざるを得ないが、いかがだろうか。