「35歳定年」と言われる中国のITベンチャー
米中のベンチャー企業では、平均年齢が20代という組織も珍しくありません。現場に立つビジネスパーソンが、我慢せずに、挑戦できる組織です。ただし、その代わりに責任も増えます。中国のITベンチャー業界では、「35歳定年」と言われるほど、特に技術者(エンジニア)は若いうちに挑戦をして、勝負をかけて、結果を出すことが求められます。ハードな世界ですが、だからこそ、ベンチャー企業が飛躍していける世界にもなっています。
もちろん、ベンチャー企業にも良し悪しがあります。大企業にも、中小企業にも、それぞれに良し悪しはあります。ただ、役割が固定化され、我慢が美徳になってしまっている環境を変えるという意味において、ベンチャー企業のような新しい組織が沢山作られ、急成長をしていくことによって、従来の会社の中でも現状維持に対する危機感が高まり、組織として新陳代謝や変革が起きていくのは、確実に大切な社会の動きです。
「我慢強さ」はすぐに「思考停止」へ姿を変える
空気を読んで、我慢して、周囲の人々や物事の前例に合わせることばかりに慣れていく。また、そのように上手く合わせられることが、能力として評価される環境にいることで、どんどん染まっていく。そうした「我慢強さ」は、いつでも、すぐに「思考停止」へ姿を変えます。
「我慢できるでしょ」「察してよ」と言われ続けることで、自分のオリジナルで考えることをあきらめて、何かあっても、自分自身に「しょうがない」「どうせ、○○でしょ」と言い聞かせるクセがついていきます。我慢して、あきらめて、言われた通りにやるだけ、求められた通りにやるだけ、ルーティンや前例に従うだけ、になっていくのです。
「どうせ、こういうものでしょ」と割り切ったフリをして、「普通でいいから」とあきらめて分相応を良しとしていくと、次第に、自分のことなのにすべてが他人事のように思えていってしまいます。
仕事において、「空気を読む」や「我慢する」を選ぶことが有効な場面は確かにあります。波風を立てず、上手く立ち回ることで、周囲から気に入られる……。そうした「要領の良さ」を持てる人が評価され、出世していける場面や組織は多いはずです。
それに順応できる人はいいでしょう。自分が我慢することで下手に出ながらも、じつは自分が相手や周囲をコントロールすることを、ゲーム感覚で楽しめる人にとっては、特に問題はありません。しかし、そうでない人にとっては、仕事はどんどんつらくなっていきます。ある程度までは我慢できても、我慢するだけの日々が延々と続くことで、流石につらくなってしまう人は大勢います。