さりげない敬語で相手を立てられるか

「もしかしたら」「かもしれない」は仮定言葉です。

この仮定言葉をプラスすることで、相手に不愉快な思いをさせないよう配慮をしているのです。もし仮定言葉抜きでダイレクトに伝えていたら、どうでしょう。

「間違っているから、もう一度確認してもらえる?」
「締め切り時間、勘違いしていない?」

ちょっときつい印象を与えてしまって、言い方によってはトゲが感じられることでしょう。

一方で、年上の部下は年下の上司に対して、敬語を使うことを忘れませんでした。

仮定言葉で仕事のミスを指摘されたときはもちろん、雑談をするときにも、ユーモアで笑い合うときも、「失礼しました。私が間違えていました」「○○さん、笑わせないでくださいよ〜」と、さりげなく敬語を使って答えていたのです。

仮定言葉と敬語でお互いを立て合っていたからこそ、風通しのよい人間関係を保つことができていたのです。

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夜の銀座のひと味違う「立て上手」

ここで、銀座のホステスの話を紹介しましょう。

私はシングルマザーとして、子育てのためにダブルワークをしていた時期が14年間ありました。昼はリクルートで求人広告の営業の仕事、夜は銀座のクラブでホステスとして働いていたのです。

銀座では一流と呼ばれるお客様、一流へと成長していくお客様とママやホステスとのやり取りを目の当たりにしてきました。

銀座のママや評判のよいホステスは、お客様を立てるのが抜群に上手です。

「人を立てるプロ」といっても、過言ではありません。

黙ってニコニコして座っているだけでは、お客様から応援されるホステスにはなれません。時折「すごーい」と絶賛するだけでも同じです。応援されるホステスになるためには、先にお客様を応援する経験の積み重ねが必要なのです。

冒頭にお伝えしたように、応援することは相手を尊重することです。

お客様を尊重して、損得勘定なく応援するホステスこそが、お客様から応援されて愛されるのです。

それでは、お客様を応援する姿勢とは一体どんなものでしょう。

お客様は接待以外のときは、「癒されたい」と思ってお店に足を運びます。つまり、話を聞いてもらいたいのですね。