例えば、遠くに住んでいるおじいちゃんが、家には来られないけど現金書留で送ってくれたお年玉に対して、皆さんは子どもにどのようにお礼を言わせるでしょうか。親が電話をかけてお礼を言った後、子どもに代わって「ありがとう」と言わせているでしょうか。

これは、ペアレンティング・トレーニングではNGになります。

お金をもらう「ありがたさ」を伝えよう

社会の脳である「こころの脳」を育てたいなら、常に「家庭は最小単位の社会」ということを考え続けなければなりません。

例えば会社で、取引先からの支払いが確認されたらどうしますか? 電話で「あ、入金されてました~、ありがとうございます~」ですか? まさかそんなことはないですよね。きちんと領収書を切りますよね。

子どもは、家庭生活で繰り返される親の行動や言動から学び、「こころの脳」を育てます。お金に対する価値観はその最たるものです。

親が、「たくさんのお金をいただいたのだから、電話でひとこと『ありがとう』ではだめです。あなたをとても大切に思っているおじいちゃんが心を込めて送ってくれたのだから、電話みたいに消えてしまうものではなくて、自筆のお手紙でお礼状を送ります」ということを繰り返し子どもに伝えていきます。

子どもがそれを実践していれば、自然に「お金をいただくということはとてもありがたいことなのだな。いただいたら形に残るようにお礼を伝えなければならないのだな」という考え方に脳が育ちますから領収書の大切さは身に染みてわかります。

お年玉を預かるのは絶対にNG

「ありがたい」と強く記憶することができるなら、次の機会に相手にお返しを自発的にするでしょう。そうやって「人間関係」の構築ができていけば、子どもは社会の中で「うまく」「幸せに」やっていけるのです。

成田奈緒子、上岡勇二『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)

ですから皆さん、面倒だとは思いますが、子育てをしている間だけでも、「おかげさまで」「ごめんなさい」「ありがとう」を丁寧に子どもに伝えていってください。もちろん皆さんも実践してください。

そして子どもが得たお年玉は、先のご家庭のように一部は親に還元したとしても、残りは子どもの管轄に「信頼して」任せましょう。「心配だから」と親が管理をすることは自立を阻みます。

むしろ、家庭という失敗をしても大丈夫な環境にいる間に、「収入と支出」のバランスを取るお金の使い方を毎月のお小遣いとお年玉を含めた額でやりくりさせてみましょう。

失敗は必ずしますが、そこからの学びが「こころの脳」を育てます。これが、ペアレンティング・トレーニングで目指す「正しい脳育て」です。

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