お年玉の増減はシニアがカギ握る

クリスマスにお正月、とかく年末年始は出費がかさむ。家庭を持つサラリーマンにとっては、懐が寂しい時期である。かくいうわが家も小学生の息子のために、クリスマスで泣く泣くペットロボットを購入。正月のお年玉はどうやって誤魔化そうか、今から思案中である。

そう思っていた矢先、住信SBIネット銀行がお年玉に関する意識調査を発表。2016年のお年玉平均支出予定総額は2万7644円で、金額的には742円と僅かだが前年より2.5%減少するとの結果が出た。

アベノミクスで景気回復と喧伝される中、一般家庭の懐具合はそう簡単ではなさそうだ。経済評論家の平野和之氏によると、サラリーマン家庭は苦しい状況のため、お年玉事情はシニアがカギを握っているという。

「2015年に施行された相続税改正によって、5000万円プラス法定相続人1人当たり1000万円以上が対象とされていたのが、3000万円プラス法定相続人1人当たり600万円以上と、課税対象が広がりました。一方で、孫への生前贈与の枠が増えたので、教育資金などへの投資が増えることとなりそうなのです」

ただでさえ、孫には甘い高齢者たちが、ごっそり税金で持っていかれるとなると、こぞって孫への投資に向かい、勢いお年玉も増えていくと予測する。加えて、3世帯同居が増えていることもお年玉増加に拍車がかかるという。

「政府は3世帯同居を勧奨しています。相続税対策にも役立ち、息子・娘夫婦が共稼ぎの場合、孫の面倒もみられる。一方で、介護の必要が出てきた場合、子や孫が対応できるからです。しかも、北陸3県では、3世帯同居で孫の学力アップが目立っていることなど、いいことづくめ。ここ数年、3世帯同居が増えています。これも、お年玉増加の大きな理由の一つ」(平野氏)

株や外貨など、金融資産の多くは高齢者が活用している。つまり、資産を多く持っているのは、働き世代ではなく、高齢者なのだ。株価の推移を気にする安倍晋三首相のアベノミクスの恩恵を受けているのは、まさに高齢者だということがはっきりしたということだろう。アベノミクスは、サラリーマン世帯にとって何の実りもない政策だというのが冒頭の調査を見ても明らかなのではないか。昇給も相続税も無縁な人々は、ちょっぴり辛いお正月となりそうだ。

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