子供がもらったお年玉は、どのように管理するべきか。『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)を書いた文教大学教育学部の成田奈緒子教授(小児科医、公認心理師)と公認心理師の上岡勇二さんが、お年玉の正しい扱い方を解説する――。
お年玉
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お年玉でおごってもらい、子に「ありがとう」と言う

正月に子どもたちが楽しみにしているのはお年玉という習慣ですよね。

私たち大人も幼い日にもらってきた記憶があるでしょう。が、あれって、なぜもらえるんでしょうか? 皆さんは考えたことがあるでしょうか。

以前、ある方からこんなお話を聞いたことがあります。

「うちの家では、子どもたちが親戚や親の仕事関係の人からお年玉をもらうと、必ず『あなたたちがお年玉をもらえるのは、私たち親のおかげなんだよ』と言って聞かせます。そのお年玉は私たち親が、いかに社会の中で「うまく」関係を築いてきたかの印であって、けっして子ども自身がなんらかの労働の対価として得たお金ではないのだよ、と。そして毎年家族でお正月期間に回転ずしに行き、その時だけは子どもたちが親にお年玉でおごることになっています。もちろん親である私たちはそれに対して『ありがとう、ごちそうさま』と言います。あとは、お小遣いとして子どもたちが貯金するなり、自由に使うなりさせています」

素晴らしい話だと私たちは感激しました。

なぜお年玉がもらえるのかを伝える

つまり、こういうことです。子どもがお年玉をもらえるということは、親である皆さんがその相手(親戚や仕事関係の人)と良好な関係を1年間、築いてきた結果なのです。

人間関係の維持はそんなに簡単なものではありません。皆さんが気を使って、お金を使って、知力を使ってなんとか社会生活を1年間「うまく」過ごしてきたからこそ、周りの方が「子どもたちへのお年玉」という形で感謝を表してくれているのです。

だからと言って、子どもたちに与えられたお金を親が搾取するのではなく、子が親に食事をおごってあげて、それに対して親が「ありがとう、ごちそうさま」という言葉を伝えているところも素晴らしいところですよね。

ここに、私たち子育て科学アクシスのペアレンティング・トレーニングでお年玉に関してお伝えしたい内容がすべて集約されていると言っても過言ではありません。