残念な家庭教師は「答えが合っているか」しか見ない

そうやって、細かく見ていき、伸び悩む原因を探る。そして、今この子には何が必要かを見極める。例えば図を書かないでいきなり問題を解こうとする子は単に解き方を知らないのか、知っていても面倒くさがってやらないのか、書いていると時間が足りなくなると思って焦っているのかなど、あらゆる方向から原因を探り、そこを修正していくことで得点力を上げていく。これができるのは、子供一人ひとりの学力レベルはもちろん、問題に向き合うときの姿勢や癖など、さまざまなケースに応じた解かせ方を熟知しているからだ。

一方、残念な家庭教師は、答えが合っているか間違っているかだけに注目し、間違っていた問題の解き方を誰にでも同じように解説する。そして、子供はその解き方を覚えようとする。つまり、いつまでもインプットの学習から抜け出せずにいるのだ。これでは即効性のある得点力にはつながっていかない。

写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

受験までの限りある時間を有効に使ってほしい

中学受験のゴールは、志望校に合格することだ。入試本番まであと2カ月。時間は有限だ。これまで塾のカリキュラムに沿って勉強をしてきたので、そのレールから外れることを不安に感じる人もいるだろう。だが、今塾でやっている勉強が、本当に志望校の対策につながっているのか、今一度冷静な目で見てほしい。すでに多額の授業料が引き落とされてしまっているから受けさせないのはもったいないなど思わず、限りある時間を有効に使ってほしい。

そして、さらにお金をつぎ込めば誰かがなんとかしてくれるだろうと他力本願にならず、今わが子に必要なのは何か、あと何ができるようになれば得点力が上がるのかという視点を持って、志望校に合格するための戦略を練る。その際に第三者の力が必要だと思えば課金をすればいい。最後の最後は、各家庭の取捨選択力にかかってくるのだ。

(構成=石渡真由美)
関連記事
2024年度中学入試で難度が上がりそうな中堅8校の名前…過熱受験で偏差値45~55の中堅層が"全落ち"防ぐ方法
「5年生からの勉強で難関校に合格」は超レア、中堅校も危うい…プロ家庭教師が見た"ゆる受験"の落とし穴
小5の息子が「うっせえなあ、クソババア!」と逆ギレ…わが子を「キレやすい子」にした母親の"3つの口癖"
9歳までにほぼ決まってしまう…受験家庭5000組を見た教育のプロが考える「頭のいい子」の育て方
「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧【2022上半期BEST5】