中学受験の入試本番まで、残り3カ月を切った。プロ家庭教師集団・名門指導会の西村則康さんは「毎年この時期になると、家庭教師を求める人が続出する。だが、直前期に重要なのは、わが子に必要なものは何かを見極め、志望校に合格するための戦略を練ることだ。その際に第三者の力が必要だと思えば課金をすればいい」という――。
鉛筆を握り算数の問題を解く少女
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家庭教師を求める人が続出する11月

11月になり、受験生の6年生はいよいよ入試本番を意識する時期に入った。

「本番まで3カ月を切ったのに、まだ偏差値が10も足りないんです。プロの力でなんとかしてもらえませんか?」

毎年、この時期になると、駆け込み寺に飛び込んでくるかのように、藁にもすがる思いで家庭教師を求める人たちが続出する。もちろん、中学受験のプロ家庭教師と謳っている以上、なんとかしてあげたいという気持ちはある。しかし、どんなに優秀な家庭教師でも、わずか3カ月で偏差値を10上げるのはムリな話。今から合格の道筋を作るのは、正直不可能に近い。

そして、毎年思うのだ。せめて6年生の春に問い合わせてくれたら、なんとかなっただろうに――。

だが、成功する例も多くある。それは、あと少し頑張れば合格ラインに届きそうという場合だ。この場合、適切な志望校対策をとることで、合格へ導くことができる。しかし、それも家庭教師の力量次第。直前期の課金は、良い家庭教師に巡り合えるかという「運」が非常に大きい。お金をつぎ込めばなんとかなる、というわけではないのだ。

「志望校特訓」は本当に受ける必要があるのか再検討を

直前期は一日一日の過ごし方が、とても重要になってくる。

大手進学塾では、6年生の秋以降は通常の授業に志望校特訓が加わり、塾で過ごす時間が長くなる。親からすれば「塾に行っていれば安心」かもしれないが、ただ通っているだけで時間を無駄に過ごしてしまっている子は実は少なくない。

まず、志望校特訓が本当に必要かどうか今一度検討した方がいいだろう。志望校特訓とは、その名前の通り、志望校の入試対策に特化した授業を行う。開成中クラスや麻布中クラス、桜蔭中クラスなどのいわゆる難関校1つだけの冠が付いたクラスであれば、その学校の入試対策をしっかりしてくれるので受講する価値は高い。

しかし、それよりも下のランクのクラスになると偏差値帯でひとまとめにされてしまうため、「今週は芝中の問題をやります。来週は本郷の問題を解いてみましょう」といろいろな学校の問題を解かせて、解説をするだけなので、本当の意味での志望校対策にはならず、実は無駄が多いのだ。ここで時間を費やすくらいなら、志望校の過去問を自宅でたくさん解いて、振り返りをしっかり行った方が効果は高いだろう。