運動も料理も「三日坊主にならない」という能力

なぜ「トレーニングをする男性」は、「料理をする」のでしょうか。

夫やX(旧Twitter)で集まってきた証言を総合し、私が推察したところ、その理由は大きく分けて3つです。ひとつずつお話ししたいと思います。

①自己管理能力が高い

当然のことながら、朝早く起きて走るにしろ、仕事帰りにジムに行くにしろ、途中でへこたれて三日坊主にならずにコツコツと毎日トレーニングを続けるには、自分自身を律して、感情や行動をコントロールする能力が必要です。つまり、「自己管理能力」です。

そして、1日の仕事を終え、たとえとても疲れていたとしても、「まあいいや」とならず、帰宅してから料理をするには、やはり目標達成に向けて意識して行動する力「自己管理能力」が必要でしょう。

共働きが一般的となり、男性の家事育児時間は増加傾向にあるとはいえ、いまだ女性の家事育児時間に比べると、雲泥の差と言わざるを得ない現在。1日で「料理」や「食器洗い」をする時間(平均)は、女性が1時間25分なのに、男性はたったの14分です(図表2)。

ともすれば男性が家事をしなくても許されてしまいそうなところ、「毎日料理をする」と決めてその通りにするには、トレーニングでも生かされる「自己管理能力」の高さが鍵と言えそうです。

※2016年、2021年、週全体平均、夫婦と子供の世帯 出典=総務省統計局「我が国における家事関連時間の男女の差~生活時間からみたジェンダーギャップ~」(統計 Today No.190)、2023年2月8日

スケジュールに合わせた「進捗管理」

次に挙げる理由も、①と近いところがあるのですが、夫が「これは必要」と語っていた能力です。

②進捗管理ができる

料理をしたことがある人なら誰でもわかると思いますが、料理には「進捗しんちょく管理」が必要です。

いくつもの料理を同時進行でつくり、完成させて一つの献立とするには、計画性が要求されます。ましてや、共働きで日中会社に行きながら、帰宅後お腹をすかせた家族にすみやかに夕食を提供するには、「前日の夜に下味やパン粉までつけておいた鶏胸肉を、当日帰宅してから揚げて完成させる」といった、前工程・後工程に分けての組み立ても必要でしょう。

こういった「進捗管理」の能力は、「早く走ってタイムを縮めたい」「筋肉をつけたい」「体力をつけたい」などの目的に向けて必要な運動メニューを調べ、「次の大会までに」といったスケジュールに沿って日々の計画を立てて実行するトレーニングにも必要な能力です。

「夕食の時間」や「次の大会」に向けて、綿密な計画を練って実行し、万一遅れなどが生じれば間に合うよう計画の変更を行う「進捗管理」の能力は、料理にもトレーニングにも生きるでしょう。