※本稿は、リュウジ『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)の一部を再編集したものです。
飲食店もめんつゆや味の素を使っている
料理研究家のリュウジです。SNSでよく炎上しています。
「めんつゆなどを使った時短料理が流行ると、日本の手間ひまかけた食の文化が壊れますのでやめてください」と、言われたことがあります。
でも、そんなものはぶっ壊せばいいと思ってます。
手間ひまかけるというのは手段であり、目的ではないからです。そもそも、たいていの飲食店でもめんつゆは使うし、味の素だって入ってる。レンチンもする。
伝統的な調理法も、元はその時代にあるもので「おいしさ」を求めた結果です。だから俺は、今ある調味料や調理器具でウマいものを作りたいと思ってます。
月収9万円だった頃、本当にカネがなくていろんな貧乏飯を作っていました。
人からは「よくそんなの食べられるね」と笑われたこともあります。でも、こういう飯を楽しめない人間にはなりたくないと思ってます。
今は料理研究家になって、勉強のためにちょっといいお店に行く機会も増えました。でも、いまだに、味の素ガンガン入れた納豆ごはんが世界で1番ウマいと思ったりもします。
真のグルメとは、高級店だからとか、高級食材だからとかってことではなく、贅沢飯も、ズボラ飯も「おいしい」って笑って食える、その心の豊かさが、グルメだと思います。
今回発売した書籍「虚無レシピ」は、その真骨頂ともいえる本です。
「今日はもう何もできない」という日のために
あるじゃないですか。「今日はもう何もできない」とか、「二日酔いで死ぬー」とか。あああああ、虚無……って日。でも、どんなに虚無でも人は、食べないと生きていけない。
……というわけで、「いかに少ない材料と手間で、いかにウマイものを作るか」を、極限まで突き詰めたのが、この本です。
中には、「これ、料理って呼んでいいの?」っていうものもあるかもしれません。でも華やかなだけが料理じゃないです。
加えて、とても大事なことが1つ。
虚無レシピは、食材や工程をギリギリまで削ぎ落とした究極の「引き算レシピ」です。逆に言えば、何を足してもアレンジ自在ということ。見た目は全然映えません。
でも、味はまったく虚無ではないのでご安心を。ぶっちゃけ、俺(あ、俺じゃなくて酔っ払いの料理研究家)が出している「至高シリーズ」よりウマいかも、と思うものもあります。
これは「現代の錬金術」であり「究極のサバイバル飯」でもあります。