朝型生活にすると、仕事が格段にはかどる

生活のリズムは人それぞれで、朝が得意という方もいれば、夜のほうが能率が上がるという方もいます。脳にとってどちらがいいとは、いちがいには言えません。客観的なデータも、今のところは存在しないと思います。

しかし私個人の主観としては、圧倒的に朝型をおすすめしたいのです。

最近は4時半に起床し、6時半には研究室に来ています。もともと朝型ではなく、准教授のころまではふつうに8時半ごろに出勤していたのですが、教授になった4年ほど前から今のスタイルに変えたのです。その結果、仕事の効率は格段に上がりました。

それまで昼や夕方にやって2~3時間かかっていた作業が、早朝なら30分でできてしまう。疲れていないから集中力が保たれるし、まだ誰も出勤していないので他の用事も入らないからです。

そのため、最近は重要な仕事ほど、この6時半から8時半の2時間のうちに終わらせるようにしています。今後の研究の方向性を決めたり、その段取りを考えたりといったクリエイティブなことは、すべてこの時間で処理する。

あるいはメールにしても、一日で200通前後はふつうに来ますが、返信が必要なものは一通につき1分程度で処理するのが朝の日課となっています。

そして8時半以降、皆が出勤してくるころには、すでに一日の4分の3ぐらいの仕事が終わっている感覚になります。仕事量は膨大ですが、この濃密な2時間のおかげで効率的に処理できているわけです。

企業のトップは朝の価値に気づいている

ついでに言えば、早朝は出勤も楽です。私はクルマで通勤していますが、仙台市内も朝のラッシュアワーはかなり渋滞します。空いていれば十分で着く距離に40分以上かかったりすることもあるほどです。

しかし、早朝なら空いています。前後に一台も走っていないこともザラです。ほんの2時間ほど前にズラすだけで、運転のストレスには雲泥の差があるわけです。

瀧靖之『70代でも老けない人がしている 脳にいい習慣 「ほんの少し」でこんなに変わる!』(三笠書房)

おそらくこれは、電車通勤でも同じでしょう。首都圏などのJRや私鉄各線は、ラッシュアワーの混雑緩和のために、かねてより「時差通勤」を呼びかけています。

出勤を遅らせるのも一つの手ですが、いっそ早めると比較的楽に出勤できるうえ、仕事への姿勢も変わってくるかもしれません。

こういう早朝の価値に気づいているのは、私だけではないでしょう。

私はいろいろな企業のトップの方にときどきお会いする機会にめぐまれますが、やはり朝型の生活をされている方が少なくありません。忙しい方ほど、朝の時間帯の価値に気づいているのではないでしょうか。

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