親に500万円を援助してもらい、なんとか脱出
本人だけではにっちもさっちもいかないことが分かり、Eさんは親御さんからの資金を受けることになりました。資金援助のメドがたった段階でサブリース契約を解約してできる限り高値での売却を目論見ました。最終的に2戸の売却はうまく完了しました。
ただ、売却額は2戸で約4000万円、売却時のローン残債額は合計4500万円もあったので、資金援助の額は合計で概ね500万円となり、いかに物件を高値掴みしていたかを痛感したようです。
Eさんは親御さんの資金援助で出口が取れましたが、もし援助がなかったら30年間、毎年60万円の持ち出し金を払い続けることになり、下手すれば自己破産という結末になりかねません。
不動産投資は一歩間違えればこのような状況になってしまうのです。
同様の事例を多数知っている私から見ると、不動産投資で成功するのはほんの10%に過ぎず、残りの90%の人は失敗者となってしまうのです。
「任意売却」が成立しても個人の信用は傷ついたまま
不動産投資でローンが返済できない状況に陥ってしまうと、どうなるのでしょうか。
住宅ローンや借入金等の返済が困難になった場合、債権者は担保権(抵当権等)の実行により債権を回収することになり、よく聞くのが「競売」による不動産の売却という方法です。
しかしながら、競売では現金化までに時間がかかるうえ、市場価格より安くなるケースもあります。
そこで、不動産会社の仲介により債権者・債務者の調整を行い、市場で担保不動産を売却する「任意売却」という方法を取る場合があります。
任意売却は債務者(所有者)、債権者(金融機関)、担保物件を買う第三者で話し合い、合意した売価価格で第三者に売却するという内容です。債務者は売却代金をローン返済にあて、債権者は抵当権を抹消するという流れになります。
この任意売却では対応できないとなれば、金融機関は法的手続きで貸金の回収をします。これを「競売」といい、金融機関が競売の申し立てを裁判所にすると強制的に売却されます。こうした方法で借金はなくなるわけですが、ローンの延滞履歴が残るなど個人情報が毀損してしまうため、当面はクレジットカードやその他のローン借り入れはできないことになります。
したがって、ローンの返済が滞ってにっちもさっちも行かない状況になってしまったら、早い段階で借入先の金融機関に相談して任意売却等の道筋をつけてもらう必要があります。
そうすることで最悪の結末は防げることになります。