投資を始めるとき、どんな点に注意すべきか。独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)の五十嵐修平さんは「金融機関の営業マンが勧めるのは、お得な商品ではなく、売りたい商品であることが多い。とくに、預金金利を優遇するキャンペーンや高分配をうたう投資信託には注意が必要だ」という――。

※本稿は、五十嵐修平『55歳からでも失敗しない投資のルール』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

住宅ローンと自動車ローンのイメージ
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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営業マンが勧めてくるのは「今売りたい商品」

銀行、証券会社、保険会社などの金融機関と取引をしていると、キャンペーンなどと称して、営業担当者が今売りたい商品を勧めてくることがあります。

営業担当者に提案されるがまま、商品自体の利点と特性を理解しないで購入してしまうと、自分が使いたい時に元本が割れていたり、相場の急変動に一喜一憂したりしてしまうことになるでしょう。

ここでは、特に用心したい金融商品と営業担当者のセールストークを「金融機関の注意点」と題して3点解説させていただきます。

金融機関の注意点その① 一見、お得なキャンペーン

2024年から新NISAが始まることもあり、顧客獲得合戦とし、銀行や証券会社などでは全社・支店でのキャンペーンがあり、特定の金融商品を勧めざるを得ないことがあります。

ただし、その背景を知っていると、営業担当者の言葉を鵜呑みにすることを防げます。

「定期金利3%」を鵜呑みにしてはいけない

例えば、銀行による定期預金とNISAを同時に始めると金利が優遇されるキャンペーンがあったとします。

金融機関のキャンペーンの例
投資家に不利な内容が小さく記載されており、注意が必要(出所=『55歳からでも失敗しない投資のルール』)

いまや、預金金利は0.1%以下が当たり前の時代。それにもかかわらず定期預金の金利が3%というのは、驚きの水準です。

ところが広告をじっくり観察すると、「購入時手数料が0円の投信は対象外」と小さな文字のひと言が書かれています。現在、つみたてNISA(新NISAのつみたて投資枠も同様)で扱う投資信託は購入時手数料のかからない「ノーロード投信」ですが、それをどれだけ購入しても金利は優遇されないというのです。

また、「金利が優遇されるのは、当初3カ月のみ」というのもよくあるパターンです。それ以降は店頭金利になります。預ける資金にもよりますが、3カ月で得られる利息は限られるにもかかわらず、果たしてこれはお得なキャンペーンといえるでしょうか。