※本稿は、五十嵐修平『55歳からでも失敗しない投資のルール』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
収入が減っても「豊かな老後」は可能か
皆さんは理想のセカンドライフはありますか。「趣味の海外旅行をもっとたくさん行きたい」、「田舎に移住してスローライフを過ごしたい」、「退職後は喫茶店を開きたい」、たくさんの選択肢があります。最近ではリスキリング(学び直し)という言葉もよく聞きますが、今までの仕事とは違った分野に挑戦するという方も増えてきています。
仕事の責任から解放され、心身の充実を追求する時期として、多くの人々がセカンドライフを楽しんでいます。
ですが豊かなセカンドライフを送るためには、お金の面でも準備が必要です。労働収入から年金収入となり、ほとんどの方は収入額が減少します。実際に自分の求める生活を送るには、一体いくらの資金が必要なのでしょうか?
高齢者は「平均月2万円」を切り崩している
そもそもセカンドライフとは何歳からのことを指すのでしょうか。早期退職して自分のやりたかったこと実現させる人もいれば、再雇用などで長く働き続ける方もいます。
老齢年金は現在65歳での給付を基本としているので、ここでは65歳以降を前提として考えてみます。
総務省の「家計調査報告2022年(令和4年)平均」によると65歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得は21万4426円、一方消費支出は23万6696円でした。また単身無職世帯可処分所得は12万2559円、消費支出は14万3139円でした。可処分所得のうちほとんどが社会保障給付(=公的年金)です。
※可処分所得…手取り額。収入から税金や社会保険料などの支出を差し引いた金額で、自分が自由に使えるお金のこと。
このデータから平均毎月2万円を切り崩しながら生活していることになります。
現在の年齢から残り何年生きられるかの平均値である平均余命は、65歳時点で男性は19.85歳、女性は24.73歳です。毎月2万円を切り崩しが続いた場合は男性で480万円、女性で600万円の資金があれば足りる計算になります。しかしこの計算には3つの要素が不足しています。1つずつ確認していきましょう。