利息より手数料が高く「赤字」になるケースも
例えば、1000万円キャンペーンで預けたとします。3%なら30万円の利息がつくと考えるかもしれませんが、30万円は一年間分の利息なので、3カ月ですとその4分の1、つまり実際は7.5万円の利息となります。投資信託の購入時手数料がかかる場合を考えると、トータルでプラスにならない可能性もあります。
金融商品に限らず、こうした販促はさまざまな業種・業界でよく見られる手法です。みなさんも、普段の買い物ではしっかりとチェックするようですが、金融商品になると商品知識などに不安があるのか、誘い文句に乗ってしまうことが多いように見受けます。「お得な話には裏がある」と肝に銘じておくことです。
銀行も証券会社も事業会社である限り当然、利益を求めないといけません。会社によっては高い目標設定を掲げ、各営業担当者には商品販売のノルマも課せられていることもあるでしょう。特定の時期、月末や特に四半期の末になると、強くセールスを受けるのはそのためです。もちろん、お客様側に立った提案であればありがたいのですが、そうでないことも少なからずあります。
「なぜ、この営業担当者はこの商品を勧めてくるのか」を考えないといけませんが、商品知識に対する情報の非対称性(売り手と買い手の間で保有する情報に格差があること)により、気が付けば勧誘に乗っていることもあります。結果、資産運用の足を引っ張るような商品を買ってしまうと、目も当てられません。
高い分配金の大部分は「元本の取り崩し」
金融機関の注意点その② 投資信託/高分配ファンド
高い分配金をうたった高分配ファンドは、「安定的に分配金が得られる」という理由で人気の金融商品であり、営業担当者にとって、年配で投資初心者の方に勧めやすい商品です。
ただし、高分配ファンドの分配金の大部分は、「元本払戻金」と呼ばれる、運用収益が出ていないのに投資家が預けたお金を返金しただけのものとなっています。つまり、元本を取り崩して分配金を支払っているということです。
これをダムに例えて考えてみましょう。ダムの水位が投資信託の基準価額で、水位が上がると基準価額も上がり、水位が下がると基準価額も下がるとお考えください。ダムの水位は川からの安定的な水の流入や雨によって増えます。安定的な水の流入を投資先からの配当や利息収入とすると、いつ降るかわからない雨に相当するのは、いつ上昇するかわからない相場の値上がり益です。
こうしたなか、川からの流入や降る雨の量以上の放水をしていくとダムが干からびてしまいます。つまり、配当や利息収入、値上がり益以上の分配金を出すと、元本がどんどん減っていくということです。