儲からない物件を2戸も買ってしまった30代男性

こんな相談者のお話をしましょう。

Eさんは年収500万円程度で30代の一般企業に勤めるサラリーマンです。ひょんなことから、投資マンションを買う羽目になりました。それは、会社の先輩からの話で、投資マンション話を聞かされ、興味を持ってしまったのです。先輩も投資マンションを買っているという安心感も手伝ってか、不動産業者の話を聞くことにしました。

話を聞いてみると、なんとなく将来の不安が解消できそうなイメージで物件を紹介され、契約をしました。しかも、続けて2戸も買ってしまったのです。のちにわかるのですが、買った物件は都心ではあってもそれほどいい立地とは言えないもので、建物自体は売値に見合った分譲マンションとは言えず、いわゆる地主が自分の土地に建てるRCのマンションの類いで、しかも低層、高級感などはまったくありません。

そんな新築マンションでも、戸当たり25m2の1Kタイプで3000万円近くの価格です。しかも、賃料はせいぜい高くて9万円未満ですから、とても儲かるはずはありません。こんな物件を自己資金10万円、その他はすべてローンで賄うというものでした。

家の模型を上に載せている4つの貯金箱
写真=iStock.com/cglade
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業者は値引きする裏で、約1000万円を儲けた

購入の際には、所有権の移転登記やローンの抵当権設定費用、こまごました税金など、約100万円程度を業者が値引きをしていました。

Eさんに聞けば、不動産業者の方で特別に値引きしてもらったとのこと。そのくらいの費用を業者が持っても、業者の儲けは2戸で概ね1000万円近くになります。したがって、その程度の諸費用を値引くのにはなんの躊躇もありません。ある意味、まんまとカモられてしまったわけです。

Eさんはどこに相談したらいいかわからないまま悶々としていましたが、インターネットで弊社の存在を知り、相談に来ました。

物件の詳細を精査してみると、毎月5万円の持ち出し金が発生していました。年間で60万円もの持ち出しがあり、ローンの返済期間はこの持ち出しが続くことをEさんにお知らせすると、相当なショックを受け、すぐに売却したいと言いました。

しかしながら、ローンの残債額と市況価格には大幅な乖離かいりがあり、それを埋め合わせる資金がなければ売却はできません。