「オープン価格」という不動産業界の闇

投資商品の多くはオープンで透明性のあるものです。

例えば、株式投資は市場で取引されており、世界中の誰もが簡単に行えます。取引自体は法的に説明義務があり、客観的な数値の変動に基づいて公開されたマーケットで取引が行われるので透明性があり、オープンなものと言えます。

ところが、不動産投資の場合、「1物4価」(「実勢価格」「公示価格」「固定資産税評価額」「相続税評価額」)と言われるように、正確な不動産価格はひとつとして存在しません。ある意味不動産価格はすべてオープン価格になっているので、その取引の主体者が勝手に値段を決めることができます。

例えば、マンションの売主が大手のデベロッパーであれば、デベロッパーの利幅が大きく価格反映されています。昨今「東京23区では1億円ないと新築マンションは買えない」というようなフレーズがありますが、まさに取引の主体者が値段を決めています。

マンション
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素人は適正価格なのかわからないまま購入する

したがって、一般のエンドユーザーがこの価格を見て本当に正しい価格かどうかの判断はできないのです。言葉巧みに「希少物件」だとか「滅多に出ないいい物件」といって買わせてしまうのが常套手段です。

ひとつとして同じ不動産物件はありませんが、それに近い物件は山ほどあります。そうした情報を的確に仕入れない限り、エンドユーザーには全くといっていいほど適正価格がわからないのです。

このように、不動産投資の取引の大半は実に不透明なもので、いわゆるブラックボックス化されており、公開市場もなく不透明な取引が多いと言えるでしょう。したがって、数々の不祥事や不正行為がなくならないのも理解できます。不動産取引は株式市場のような公開マーケットが存在しませんので、不動産価格の信憑性が疑われても仕方がないのでしょう。