過去の失敗パターンを「見える化」し共有する

順調に見えている仕事でも、こんなことが起こってはいないでしょうか。

・お客様から確認の電話がかかってきて、契約書を送り忘れていることが発覚したが、すぐにバイク便でお届けしたために問題にはならなかった
・経理部から「同じ金額の見積書が2枚来ているが、2枚とも処理してよいか」と言われて確認したところ、別々の担当者が同じ内容で経理処理を行っていた。二重計上になる前に片方を取り下げた
・打ち合わせ予定時刻にお客様が来社されず、確認のお電話をすると日時が間違っていた。幸い、翌日に打ち合わせのお時間をいただけたので進捗には問題がなかった
・必要な部品が届かないので確認したところ、自社の発注確定処理が行われていなかった。幸い、先方に十分な在庫があったため、即日納品をお願いして事なきを得た

これらが、いわゆる「ヒヤリハット」です。背筋がヒヤリとしたり、驚いてハッとしたりしたけれど、事故にはつながらなかったラッキーな状況です。こうしたことが起こっていても、遅れにつながっていなければ「進捗に遅れなし」となります。

これらについても、遅れと同様に原因究明を行い、再発防止策を考えましょう。先々のリスク、将来の事故の芽を潰すのです。

写真=iStock.com/takasuu
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ヒヤリハットを潰す具体的な方法としては、

・過去にあったミスや事故、失敗のパターンを「見える化」し、共有しておく
・仕事に取り掛かる前にチェックリスト化する

などが有効です。

もちろん、あまりやりすぎると、チェックのためのチェックになり、作業時間をどんどん食い潰してしまうことにもなりかねませんから、ほどほどに留めておかざるをえません。

しかしながら、先々のことを頭の片隅に置いている人と、まったく考えもしない人では、仕事の品質に雲泥の差が出ます。ぜひ、先読みできる人になりましょう。

トラブルを事前に潰し切ったら、加点を狙う

なお、トラブルを未然に潰し切ったときにだけできる理想の打ち手があります。

それが「プラスアルファを考える」です。

これまでに書いてきたことは、すべて「減点を防ぐ」ための打ち手でしたが、これは「加点を狙う」打ち手です。

やってもいいし、やらなくてもいい。しかし、やればお客様あるいは、上司・先輩の要望をより多く満たすことができる。より大きな成果につながる。そういうことがないかを考えてみるのです。

仕事ができるという評価は、「いい意味で期待を裏切る」ということを積み重ねた結果として得られることが多いです。

「まさかそんなことまでやってくれていたの?」
「これは思ってもみなかった! ありがとう」
「ありきたりな感謝の言葉では足りないよ!」

などという言葉を、相手から引き出すチャンスです。

心に余裕のあるときには、よいアイデアが降ってくるものです。機会があれば、ぜひトライしてみてください。これにトライする余裕があるならば、その時点で、その仕事は大成功だと考えてよいでしょう。