小売業界全体に変革をもたらす可能性がある
セブン&アイは国内コンビニ店舗の24時間、年中無休の営業をどうするかという問題にも直面している。無人店舗の運営、地域ごとに実情に合った営業時間を認めるなど、明確な方針を示すことはセブン‐イレブンのオーナーとの関係を強化し、収益力を高めるために欠かせない。
収益増加のために、ASEAN地域、インド、米国など相対的に成長期待の高い市場におけるコンビニ事業の強化の重要性も高まる。海外で買収を行うケースも増えるだろう。反対に、スーパー、コンビニ両分野での事業運営の方針を早期に明確化し、成果を上げることが難しい場合、一部の株主がリストラや経営陣の交代などをより強く要求することも想定される。
今後のそごう・西武、セブン&アイの事業運営は、わが国の小売業界にも変革をもたらす可能性がある。展開次第で、百貨店や総合スーパーなどの分野に、家電量販店やドラッグストアなどの企業が参入し、新しいビジネスモデルの確立が目指されるケースは増えるかもしれない。セブン&アイによる百貨店事業売却は、そうした変化を勢いづけるきっかけの一つになりそうだ。