私たちが食事をすると、体内に「糖質」が取り込まれます。糖質とは栄養学的には、炭水化物から食物繊維を除いたもので、消化分解されると「ブドウ糖」に変化し、それが血管内に送り込まれることで血糖値が上がります。
血管内が「高血糖」状態になると、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉、脂肪組織に取り込んで、血糖値を下げるように働きかけます。
私たちの体は、本当に良くできています。
食後高血糖と活性酸素が動脈硬化を進行させる
ところが、運動不足や食べすぎによって「メタボ状態」になると、この優れた血糖コントロールのシステムに不具合が生じます。
蓄積した内臓脂肪から分泌される「生理活性物質」の悪影響や、ブドウ糖を取り込む筋肉量の減少にともなって、インスリンの効きが悪くなっていきます。
すると、糖質を多く含む食品を食べるたびに、コントロールが利かずに、食後の血糖値が急上昇する「食後高血糖」を繰り返すようになります。
食後高血糖は、血管内に過剰な活性酸素を発生させます。活性酸素は、酸化ストレスによって血管内皮細胞を傷つけ、LDLコレステロールなどを「酸化」して、動脈硬化を進行させてしまうのです。
血管の老化が急激に進む「悪循環」
私たちの体の中には、活性酸素の害から体を守る「抗酸化防御機能」が備わっており、通常は上手にバランスを取ってくれます。
ところが、活性酸素の発生量が多すぎて抗酸化防御機能を上回ると、そのバランスが崩れて、活性酸素によるさまざまなトラブルが引き起こされます(この状態を「酸化ストレス」といいます)。
血管内に大量の活性酸素が発生すれば、血管は酸化してサビついてボロボロになってしまいます。また、高血糖が続いてインスリンが過剰に分泌されると、ナトリウムが排泄されにくくなるなどの理由から高血圧の原因にもなり、動脈硬化の進行に拍車がかかります。
動脈硬化が進むことで、さらに血圧が高まるという悪循環にもつながります。