時代の変わり目に「前頭葉バカ」は生き残れない

【和田】経験ということを除けば、英語ができるほうが優位だとはいえなくなると思いますよ。たとえば日本人が英語でディスカッションをする場合、自動翻訳機を使ったほうが有利なはずだけど、英語が話せないと思われたくないという見栄が日本人にはあるからね。その点、アメリカ人が優位なのは他の国の言葉ができなくても誰も恥ずかしいと思わないところでしょうね。

和田秀樹『前頭葉バカ社会』(アチーブメント出版)

【橘】英語のネイティブと話すと、賢いかどうかすぐにわかりますよね。こちらの下手な英語を補っていいたいことを理解したうえで、中学の英語の先生のような正しい文法で答えてくれる人もいる。それに対して、スラング交じりの英語で話しかけられて、こちらが戸惑うと、「なんだおまえ、英語もしゃべれないのか」という対応をされることもある。

【和田】わたしもアメリカに留学していたときに、留学先の病院内では英語が通じるけれど患者さんには通じないとか、特にお店で買い物するときは通じないということを経験しました。それこそ橘さんがおっしゃるように、バカな人ほど自分がバカであることを理解できないから、英語が話せないだけで相手をバカにしてくる。心理学的にいえば、自己愛が満たされていない人は自分より下だと思う人をバカにするという心理が生まれてくるわけですね。

【橘】AIとの対話でも、おもしろい答えを引き出すことができる人が賢い、ということになるでしょうね。

【和田】人間の前頭葉は何のために発達したかというと、時代が変わったときの環境の変化に適応するためという説があるんです。だから、産業革命以来の衝撃といわれるAI革命に対してウェルカムになれるかどうかは前頭葉の賢さで決まる。これからの劇的なパラダイムシフトに、前頭葉がバカでは生き残れませんよ。

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