誰も注目しない「予算決定までのプロセス」

これらの問題の根幹にあるのは、省庁別の縦割りと政官民が一体となった利権構造ということになる。法整備面ばかりが注目されるが、国の基本は予算である。年一度の通常国会では予算審議を行い、予算を決定する。国が行う事業はほぼすべてこの予算で決まり、予算が執行されることでさまざまな事業が行われるわけだ。

だが、予算の決定までのプロセスに関しては、ほとんどの人やメディアは注目していない。ここに大きな問題があるといえる。1月の通常国会が始まり予算案が提出されると、翌年度の予算編成が始まる。各省庁が翌年度以降の事業について、有識者や業界団体などを呼んで、編成作業を開始する。そして、7月には「骨太の方針」が決定する。

実は「経済財政運営と改革の基本方針」通称骨太の方針が一番の予算の肝であり、ここに入っている文言が予算に反映されるわけだ。これは各省庁と自民党の「部会」、政調会で調整され、総務会で機関決定。これらを自民党と政府の間で調整し、閣議決定する仕組みになっている。

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国益に反していてもゴリ押しで通ってしまう

良くも悪くも、ここに長年政権を担ってきた自民党の正と負が存在するのである。国会は17の委員会で構成され、各専門分野別に個別の委員会となっている。財政金融や厚生労働、外交防衛など専門別に分けられているわけだ。どうしても、国会中継が入る予算委員会ばかりが注目されるが、それは最終的な調整のための委員会であり、根本は個別の委員会で決定するのである。

そして、自民党には各委員会に合わせ部会制度というものがある。部会には役人も出席し、予算や事業についてのレクチャーを受けるとともに各議員の陳情案件などを審議するわけだ。これを平場の議論と呼ぶ。部会には各部会の議員(一般的に族議員と呼ばれる)以外でも自民党国会議員であれば誰でも参加できる。一般的に国会は9時から始まるため、部会は国会の準備を兼ねて8時から始まる仕組みになっている。実はここで政策と予算のほとんどが決まってしまうのである。

問題は、ここに役人たちの利権と議員の陳情案件が多く含まれることであり、それが国益に反していてもゴリ押しで通ることがあることにある。