フィンテック領域の競争はいっそう激化する
日米欧の中央銀行によるCBDC研究に共通するのは、経済運営の効率性を高めることだろう。現金の利用にはコストが発生する。代表的なものに、ニセ札防止のための印刷技術の向上、安全な輸送手段の確立、大型金庫など保管場所の確保などがある。中央銀行デジタル通貨の利用が実現すれば、理論上、コストは軽減できる。決済に関するビッグデータの利用によって、より円滑な需要と供給のマッチングも期待される。
2023年4月、JR西日本はWESTERアプリの強化を長期の経営計画の基礎に位置づけた。同社はこれまでにましてデジタル化の加速に対応し、収益力を強化しようとし始めた。フィンテック企業などとの連携は増えるだろう。
同じことは、他の企業にも当てはまる。有力なフィンテック企業との連携を実現できるか否かは、わが国企業の競争力にかなりの影響を与えるだろう。一方、銀行は決済、資金運用、信用審査などをパッケージ化し、サービスとして提供する体制を強化しなければならない。JR西日本によるスマホ決済参入は、そうした変化を勢いづける嚆矢になりうる。