夜道より家の方が怖かった
この子は小学校1年生くらいの頃から家出をしていました。1、2年生で夜に外を歩いて、さぞかし怖かったやろうと聞くと、家の方が怖かったから夜道の方が安心だったと言うのです。
小学生、それも低学年の子が夜道より怖がる家とは、一体どのようなものなのか。
私たち大人は、どのくらいこの子たちの痛みを分かってあげられるのでしょうか。
その後ショウ君は、児童相談所に保護されて、施設に入所することになりました。
それでやっと、安心して暮らすことができるようになったそうです。
傷つくことが多すぎて、麻痺してしまっていた
お母さんはその後も結局、覚醒剤で何度も捕まって刑務所を出入りすることになりました。この頃にはすっかり母親への期待を失ってしまっていたので、傷つくこともなかったと言います。
傷つくことが多すぎて、麻痺してしまっていたのではないかと思います。
ふいに車の中で封印から解かれた話を聞くことになって、彼が普通の高校生が当たり前にできることができなくても、それは当然だと思いました。
彼は、これまで普通の子がしないような体験をしながら生き抜いてきたサバイバーなのです。今まで頑張ってきた分、たっぷり休んで、充電する必要があると感じました。
けれど一方で、自立の時は迫ってきます。その自立の時までに、充電期間が間に合ってくれるかということが私の大きな気がかりでした。どうか間に合ってくれと祈るような思いでした。