社員が「従う義理はない」と思っている

②自分ごと化できていない

文章化しただけで、はいオシマイ! さらにその文章に魂がこもっていないものだから、みんなそれらを自分ごと化しにくい。ほかにも、自分ごと化しにくい要因はいくつか考えられます。

日頃、意識する機会がない

みんな目先の仕事で手いっぱい。日々の仕事で忙しければ忙しいほど、ビジョン、ミッション、バリュー、パーパスなんて意識している余裕もタイミングもない。だって、忙しいんだもの。

長すぎて覚えられない

ビジョン、ミッション、バリュー、パーパス……似たような概念が4つもあり、なおかつそれぞれ重厚長大かつ高尚な文章が記されている。覚えられるわけがない!

あるいは、なんとなく存在は認知しているものの(どうやら広報部門ががんばって作ったようだ)、どこにその文章が示されているのか、どこを見ればいいのかわからない。

③従う義理がない

①や②の延長線上とも言えますが、ビジョン、ミッション、バリュー、パーパスに沿って行動する義理がない、あるいはその動機づけが起こりにくい。

「そこまで給料もらってないのに、わざわざビジョン、ミッション、バリュー、パーパスなんかを意識して尽くす義理などない」

「それは、管理職以上の責任でしょう。イチ担当者には関係ない」

端的に言えば、メンバーがこう思っている。

そもそもビジョンにメンバーの関心がない

④組織やメンバーに対して関心がない
沢渡あまね『コミュニケーションの問題地図』(技術評論社)

そもそも、ビジョン、ミッション、バリュー、パーパスどころか、その組織やメンバーに対してだれも関心がない。あるいは、関心の薄い人が多い。日々自分だけ、あるいは限られた仲間だけの「スタンドアロン」で、決められた仕事だけを淡々としている職場であればなおのこと、お互いの人となりや考え方も知らないし、興味がない。そうなると、ビジョン、ミッション、バリュー、パーパスのような目指す姿を意識しようと思わないし、それらに沿ってだれかと協力して仕事をしようなど発想すらできません。

⑤行動に移す手間が半端ない

ビジョン、ミッション、バリュー、パーパスに沿った意見や提案をしようにも、前述のとおりの面倒な部内調整、資料作成、報告業務などを求められ、控えめに言って面倒くさい。だったら、決められた目先の仕事だけを、今までのやり方で淡々と進めているほうが評価されるし、波風も立てないしで、よっぽどヘルシー。

さあ、いかがでしょう。いずれか心当たりがあるのではないでしょうか?

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