肝臓はとても重要な臓器です。にもかかわらず、私たちは肝臓の調子を体で感じることができません。また、健康診断の数値を見ても診断しにくいのが肝臓の厄介なところです。

さらに、肝臓の病気にもいろいろありますが、どれも初期には症状がほとんど出ません。肝臓は、胃や腸や心臓などと違って痛みが出ることもまれなので、よく「沈黙の臓器」と呼ばれます。

なぜ、肝臓が悪くなっても痛みを感じないのか。

それは、肝臓の中には「自律神経」は走っているものの、痛みを伝える「知覚神経」が肝臓の表面にしかなく、肝臓の中まで来ていないからです。ですから、たとえ「脂肪肝」や「肝炎」のような病気が潜んでいても、痛みを感じません。

「痛くないから」「なんともないから」といって安心しているうちに徐々に悪くなっていき、かなり悪くなってから初めて症状を自覚するのが肝臓という臓器の特徴です。肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるゆえんです。

「酒飲み」「食べすぎ」「運動不足」は最恐の3点セット

肝臓といえば「お酒」と結びつける人が多いと思いますが、それだけでは誤ったイメージです。病院で「お酒を飲みすぎてなんだか調子が悪いから、肝臓の数値が悪いはず」と訴える人もいますが、これは思い込みにすぎません。

飲みすぎて調子が悪いと感じるときでも、実際は肝臓の機能が極端に落ちているのではなく、ほかのところがダメージを受けている可能性のほうが高いのです。

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ただし、大量のお酒をずっと飲み続けている人は要注意。「肝炎」という状態になっている可能性があります。それは「昨日飲みすぎたから、今日の肝臓の調子が悪い」のではなく、すでに肝臓が病気にかかっているということです。

肝機能が低下したり、肝臓の病気になりやすいのは、お酒を飲む人よりも、むしろ「太っていて、運動をしない人」のほうです。

実際、お酒が原因ではない肝臓病になる人のほうが、お酒が原因で肝臓病になる人よりも多く、特に「運動をしない、肥満気味の人」は肝臓病になりやすい。ですから、お酒をよく飲み、肥満気味で、運動不足の人は、かなりマズいと思ってください。

肝臓が悪くなっていても自覚症状が出にくいことは先ほどお話ししました。もしも「食欲がない」「お腹が張る」などの症状が、本当に肝臓からきているとしたら、すでに深刻な状況です。肝臓がかなりのダメージを受けていて、肝炎や肝硬変になってしまっています。

肝臓は「沈黙の臓器」です。自覚症状が出てから病院に行くのでは「遅い」ということをぜひ覚えておいてください。