韓国では「マイナカード=保険証」は一般的

デジタル先進国である韓国では、保険証が大型の書類として交付されているが、保険の情報はマイナンバーとリンクしているから、医療機関の窓口では、マイナカードを保険証の代わりに使うのが便利なので一般的だ。

近未来には、マイナンバーカードとスマートフォン以外は、外出の際に持たないで良いという生活になるのだと思う。そんな極端なことをと反論する人もいるだろうが、海外生活の経験と世界の動向の観察からすれば、必ずそうなると思う。

そもそも、公的な身分証明書を義務として携行することは、世界的になにも珍しいことでないし、社会主義国家の専売特許でもない。私が1980年にフランスに留学したとき、滞在許可証の携帯が義務だった。一時滞在でない旅行者なら大事なパスポートを携行しなければならないので便利だった。

いつでもどこでもマイナカードを求められるフランス

フランス人の場合は、北欧諸国などと違って、マイナカードの携行は義務でなかったが、不携帯の場合、警察が必要と判断したら無条件で24時間の拘留をされる危険があったし、そもそも不携帯だと社会生活が成り立たなかった。ともかく、毎日、「カルト・ディダンティテ・シルブプレ(マイナカード見せてください)と何度も言われるからだ。

オフィスを訪問しようとすると入り口で提示を求められるし、当時は、クレジットカードもまだ今ほど普及せず、脱税防止のために現金取引は白い目で見られた。高額紙幣は使いにくいようにわざわざ超大型だったりして、数千円以上の支出は小切手で支払ったが、必ず、マイナカードの提示を求められた。

その後、買い物はクレジットカードが普及して暗証番号でチェックできるのでそちらが主流になったが、社会生活でマイナカードの提示を求められることは多いし、クレジットカードでも高額の買い物だとダブルチェックが必要になる(新型コロナウイルス流行直前にイタリアを旅行したときも、暗証番号とマイナカードのダブルチェックが普通だった)。

さらに、法律で現金決済は厳しく制限がかけられてできないことが多い。韓国でも、マイナカード不所持で外出などあり得ない。

つまり、フランスに限らず、昔からマイナカード常時携帯は当然のことで、不便とか危険だなどと感じておらず、日本人が心配することが馬鹿げているのである。