中国ではアナログの現金や名刺が消えつつある

中国では、現金受け取りを断るケースが多くなって、日本でいえばPayPayのようなスマホ決済が主流だ。お寺の賽銭すらQRコードを取得したうえでのスマホ決済でしか払えない。

名刺交換も、中国ではなくなってきている。日中の学者が集う会合で、中国側メンバーはほぼ全員名刺を持たず、微信(ウィーチャット)の自己紹介QRコードを交換しようとするのだが、日本側は誰一人対応できなかったそうだ。

すでに、若い人の間では、LINEの情報をQRコードで交換するのが主流になっているが、早くビジネスにも拡大するほうがいい。鍵もスマホで代替されることになるだろうから、名刺入れもキーホルダーもなくなる。

また、画像技術の進歩で、目視、さらにはコピーでの確認が不正確だとして受け付けられなくなりつつある。日本では、免許証を身分証明書代わりとすることが多く、多くの場合、コピーを示したり、それを画像として送ったりして通用してきたが、写真の貼り替えが簡単になったので、銀行などでは受け付けなくなってきた。

マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証、通帳、スマホのイラスト
イラスト=iStock.com/ringo sono
※イラストはイメージです

マイナカードとスマホだけを持ち歩く生活は楽

つまるところ、IT技術の進歩で、本物のマイナカードとか運転免許証を、目視だけでなく、電子機器を使って読み取ることだけで本人確認ができる方向になっているのである。そして、その情報をスマホと連携させることになる。

となると、究極的には、マイナカードとスマホだけ持ち歩くことに収斂することは火を見るより明らかであろうし、ポケットのなかもすっきりする。

こういう流れを理解したら、マイナカードへの一体化への反対がいかに不合理か、が分かるだろう。

もちろん、紛失したらとか、不心得にも不携帯のときに事故に遭ったらとか、暗証番号を覚えられない人をどうするかは、考えなくてはならないが、それも、マイナカードと携帯を身につけていない人は、普通はいないと割り切った上で、例外的な事態への対応だけ考えたほうが合理的だ。

そもそも、いまだって、保険証を忘れて受診する患者や事故で担ぎ込まれた急患はいくらでもいる。そのときに、医療機関は、「次に持って来てください」などとリスクを少し背負いながら対処しているわけで、それとどう違うのか理解できない。